重負荷極限定理(2)
「重負荷極限定理(1)」のつづきです。
さて、ではどんどん長くなるのですが、ここで軸と軸を縮小することにより、このがブラウン運動に近くなっていきます。具体的には
- ・・・・(12)
と置き
- ・・・・(13)
と置きます。こうすると、今までが大きな値にならないとが正規分布にならなかったことが、軸を無限に縮小することにより軸の任意の増加についてが正規分布になります。このことはがブラウン運動になることを示しています。の平均は式(10)(13)から
- ・・・・(14)
となり、の分散は(11)(13)から
- ・・・・(15)
となります。ここで「ブラウン運動」の「ドリフトのあるブラウン運動」の式(36)(37)と対比させると
- ・・・・(16)
- ・・・・(17)
となることが分かります。「ドリフトのあるブラウン運動」の式(40)によれば、この場合、時間の経過で変化しないの確率密度が存在して、
- ・・・・(18)
となることが分かっています。これは指数分布なので確率変数の(集合)平均をで表すと
- ・・・・(19)
となります。式(19)に(16)(17)を代入すると
よって
- ・・・・(20)
となります。このブラウン運動による待ち行列のの挙動の近似はの時のみ有効でしたので式(20)は
- ・・・・(21)
と書くのがより正確に事態を表しています。
一方、式(13) のとは確率変数なので、その集合平均を考えることが出来ます。これをで表すと
- ・・・・(22)
となります。ここで待ち行列の定常状態が存在すると仮定すると
- ・・・・(23)
となります。ここでの意味を考えればそれは平均待ち行列長にほかなりません。よって
- ・・・・(24)
です。式(21)と(24)から(1)
- ・・・・(1)
を言うことが出来ます。これで式(1)が証明出来ました。