バッチ装置の待ち行列の解析(13)
では、GI/G/1の場合、「バッチ装置の待ち行列の解析(7)」で示した
や「バッチ装置の待ち行列の解析(8)」で示した
はどのようになるでしょうか? はたしてGI/G/1の場合もM/M/1と同じカーブを示すでしょうか? それとも変化するでしょうか?
まず容易に分かるのは「必ずバッチルール」の場合のカーブはGI/G/1の場合も上の2つのグラフの通りだということです。では「なりゆきバッチルール」の場合はどうでしょうか? 私はGI/G/1の場合はカーブの形が変わると思っています。GI/G/1の極端な場合としてD/D/1、つまり等間隔到着、処理時間一定の場合を考えてみましょう。この場合、では、装置でのジョブの処理状態の時間変化を示す下の図から分かるように装置は1度に1ジョブで処理します。
ただし、青い四角が処理中のジョブを示し、その左端に書かれている数字はジョブの順番を示します。その上の白地のところに書かれている数字はその時点にその数字で表わされるジョブが到着したことを示します。ジョブが到着した時点ですぐ処理が始まる点に注意して下さい。
よって1回の処理で処理するジョブ数の平均値(処理時平均処理ジョブ数)は
- ・・・・(87)
であることが分かります。また装置の占有率については、「バッチ装置の待ち行列の解析(8)」の式(50)
- ・・・・(50)
がこの場合も成り立つので、
- ・・・・(88)
となります。よって式(87)と(88)から
- ・・・・(89)
となることが分かります。
さらにの場合、同じように装置でのジョブの処理状態の時間変化を示す図を書くと下のようになります。
今度はジョブが到着してもすでに装置が処理中のために到着したジョブがすぐには処理されないことに注意して下さい。この場合、装置の占有率は1です。よって
- ・・・・(90)
式(90)と(50)から
- ・・・・(91)
以上から、D/D/1の場合、処理時平均処理ジョブ数は
- ・・・・(87)
- ・・・・(91)
装置の占有率は
- ・・・・(89)
- ・・・・(90)
となります。これらを上のグラフに追加すると
となります。D/D/1の時のカーブとM/M/1の時のカーブを比較すると、一般のGI/G/1の時にカーブがいろいろ変化することが想定出来ます。では具体的にどのようなカーブになるのか式を求めたいのですが、今のところ私にはそれが出来ておりません。