バッチ装置の待ち行列の解析(14)

では、いままの考察を3ジョブ以上のバッチの場合に拡張することを検討します。まず、「バッチ装置の待ち行列の解析(10)」で考察した2ジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の重負荷極限定理が容易に拡張できます。nジョブで1バッチの場合を考えて「バッチ装置の待ち行列の解析(10)」で行った考察に沿って考察を進めますと、式(64)

  • m_D=\frac{2t}{t_e}・・・・(64)

のところが

  • m_D=\frac{nt}{t_e}・・・・(91)

になります。同様に

  • \sigma_D=\frac{2\sigma_e}{t_e}\sqrt{\frac{t}{t_e}}・・・・(65)

  • \sigma_D=\frac{n\sigma_e}{t_e}\sqrt{\frac{t}{t_e}}・・・・(92)

になります。また、稼働率u

  • u=\frac{t_e}{nt_a}・・・・(93)

になります。よって式(67)

  • m_Q=Q(0)-(1-u)\frac{2t}{t_e}・・・・(67)

  • m_Q=Q(0)-(1-u)\frac{nt}{t_e}・・・・(94)

になり、式(68)

  • \sigma_Q^2=(uc_a^2+2c_e^2)\frac{2t}{t_e}・・・・(68)

  • \sigma_Q^2=(uc_a^2+nc_e^2)\frac{nt}{t_e}・・・・(95)

になります。この結果、式(73)(74)

  • b=-(1-u)\frac{2}{t_e}・・・・(73)
  • a^2=(1-u)(uc_a^2+2c_e^2)\frac{2}{t_e}・・・・(74)

  • b=-(1-u)\frac{n}{t_e}・・・・(96)
  • a^2=(1-u)(uc_a^2+nc_e^2)\frac{n}{t_e}・・・・(97)

になり、最終的に式(82)

  • \lim_{u\rightar{1}}(1-u)L_q=\frac{c_a^2+2c_e^2}{2}・・・・(82)

  • \lim_{u\rightar{1}}(1-u)L_q=\frac{c_a^2+nc_e^2}{2}・・・・(98)

となります。これが、nジョブバッチ、「なりゆきバッチルール」の場合の重負荷極限定理になります。ここから「バッチ装置の待ち行列の解析(11)」と同じ考察を行うと

  • L_q(GI/G/1;c_a,c_e,u)\approx\frac{c_a^2+nc_e^2}{n+1}L_q(M/M/1;u)・・・・(99)

という近似式を(形式的に)得ることが出来ます。さらに、リトルの法則を適用します。スループット\frac{nu}{t_e}であることに気を付ければ

  • L_q=CT_q\frac{nu}{t_e}・・・・(100)

なので式(99)から

  • CT_q(GI/G/1;c_a,c_e,u)\approx\frac{c_a^2+nc_e^2}{n+1}CT_q(M/M/1;u)・・・・(101)

となります。


よってあとはM/M/1の場合のL_q(M/M/1;u)またはCT_q(M/M/1;u,t_e)を求めることが課題になります。