バッチ装置の待ち行列の解析(15)
いきなりバッチサイズジョブのM/M/1の場合の平均待ち行列長を求めるのは難しそうなので、まずバッチサイズ3ジョブの場合について考えてみます。「バッチ装置の待ち行列の解析(4)」の時と同じように状態を以下のように定義します。
- 待ちジョブ数が0の場合
- 装置が空いていれば
- 0
- 装置が処理中ならば
- 1
- 装置が空いていれば
- 待ちジョブ数が1以上の場合
- 待ちジョブ数+1
次に状態遷移図を書くと以下のようになります。
この状態遷移図から平衡方程式を作っていきます。下の図
に示す赤線を左から右に流れる遷移の流量と右から左に流れる遷移の流量は、系が平衡状態であれば等しいはずです。よって次のような式が成り立ちます。
よって
- ・・・・(102)
次に赤線の位置を下の図のように移動させます。
さきほどと同様に考えると次のような式が成り立ちます。
よって
- ・・・・(103)
次に赤線の位置を下の図のように移動させます。
様子が図18の時と少し違いますが、赤線を通過する遷移の線に注目すれば、さきほどと同じような式が成り立つことが分かります。
よって
- ・・・・(104)
以下同様に考えれば
- ・・・・(105)
が成り立つことが分かります。「バッチ装置の待ち行列の解析(4)」と同様、ここで
- ・・・・(106)
と仮定します。式(106)と(105)から
よって
- ・・・・(107)
式(107)はの時は一次方程式で
であることがすぐに分かります。しかしの時は式(107)は3次方程式になり、簡単には解けません。そこで、は式(107)を満たす値として、以下はをそのままにしてを求めます。まず式(106)から
- ・・・・(108)
さらに式(102)を代入すれば
- ・・・・(109)
ところで、は確率ですから
- ・・・・(26)
(「バッチ装置の待ち行列の解析(5)」参照)を満たさなければなりません。式(26)の左辺に式(109)を代入すると
式(26)によれはこれが1にならなければならないので、
よって
- ・・・・(110)
これを式(109)に代入して
- ・・・・(111)
これでまず定常状態確率を求めることが出来ました。ただしは
- ・・・・(107)
の根です。