聖杯伝説をめぐって(4)

これは聖杯伝説について私が思っていること感じていることを気ままに書いているものです。


実は私はワーグナーパルジファルの音楽が嫌いでした。第1幕への前奏曲を聴いた時、なんて抑圧的な音楽だろう、と感じました。何か上から権威で押し付けるような感じがしたのでした。それは下の動画で7:22あたりです。私の感覚では、ここは聖杯を守る中世の堅固な城を思わせます。その城の壮麗さが、こちらの心を萎縮させる感じなのが嫌なのでした。


しかし、ワーグナーの音楽には麻薬性があると思います。何かの拍子にこの序曲のモチーフが繰り返し頭に浮かんできて、最初はやだなあ、と思いながら、段々、それに引き込まれてしまいました。


あと思ったのは、ヒトラーが「第三帝国を知らんとする者はワーグナーを知らざるべからず」と言った(これは私の記憶ですので、本当はそんな事実はないのかもしれません)時の「ワーグナー」というのはきっと主にこの「パルジファル」のことを指していると思いました。それから同じく聖杯伝説に材を取っているワーグナーの「ローエングリーン」のことも思い出したので、そのためだと思いますが、YouTubeで「ローエングリーン」の第一幕への前奏曲を検索して、聴くようになりました。伝説ではローエングリーンは聖杯の守護者で、パルジファルの息子だということです。

これは巧妙で、魅力的な音楽だと思いました。日本語のウィキペディアでは以下のように説明されています。

オペラ中のよく知られる曲
第1幕への前奏曲
イ長調。8分割されたヴァイオリンが奏する縹渺とした和音から始まり、聖杯を象徴する旋律が奏される。旋律は柔らかな管楽器に受け継がれ、次第に音程が低く、厚くなっていく。やがて啓示的なフォルティッシモの爆発に高まるが、再びもとの天空に戻っていくかのように消えていく。1853年にワーグナー自身が書いた解説によれば、この前奏曲は、天使の群れによって運ばれてきた聖杯が、まばゆいばかりの高みから降臨してくる印象である。
 この前奏曲はオペラ中でも特に名高く、独立して演奏されることも多い。1851年にリストが発表した論文には「虹色の雲に反射する紺碧の波」と書かれている。1860年にパリでこの前奏曲を聴いたベルリオーズは「どの観点からしても驚嘆に値する。」と述べた。また、1871年にはチャイコフスキーも「おそらくワーグナーの手による最も成功した、かつ最も霊感に満ちた作品」としている。下って1918年にはトーマス・マンが「存在するすべての音楽のうち、最もロマンティックな恩寵にあふれた前奏曲」だと述べている。マンは1949年にもこの前奏曲について触れ、「青と銀で輝く」と表現した。これらのうち、リストやマンが「青色」について言及している点は、イ長調の調性と色彩のイメージとの関連で興味深い。


日本語ウィキペディアの「ローエングリーン」の項目から