戦うハプスブルク家

戦うハプスブルク家 (講談社現代新書)

戦うハプスブルク家 (講談社現代新書)

これは17世紀前半ドイツを舞台に戦われた三十年戦争の歴史ですが、同時に、神聖ローマ帝国カトリック教会という中世的普遍権威のイデオロギーが没落し、代わりに主権国家が誕生する様子を述べたものです。
私の関心は主にフランセス・イエイツの「薔薇十字の覚醒」の時代背景を知ることにありました。もう一つは、中世における帝国主義、帝国理念や、選帝侯との権力関係を知ることにありました。つまりは現代の国民国家からは見えないものを知りたい、というものでした。三十年戦争にいやおうなく巻き込まれて、かつて薔薇十字運動に関わった人々のその後の人生を想像することは、心を動かされる想像でした。しかしそれも今の私は忘れてしまっています。わずかにデカルトの生涯を思い出すだけです。