サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(3)

サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(2)」のつづきです。第2章「群と統計力学」の引用を続けます。

 ひじょうに興味のある場合は、いわゆる’エルゴード的’あるいは’測度可遷的(metrically transitive)’と呼ばれる場合であって、変換Tまたは変換T^\lambdaの集合は、その測度が0でも1でもないような点xの如何なる集合をも不変にしないときである。このような場合には、(どちらのエルゴード定理に対しても)f^*(x)がある範囲の値をとるようなxの集合の測度は、ほとんど常に1か0となる。これはf^*(x)がほとんど常に一定でなければ不可能なことである。
したがってf^*(x)がほとんど常にとる値は、

 (2.23)   \Bigint_0^1f(x)dx

となる。
 すなわち、クープマンの定理では、

 (2.24)   

を得、またバーコフの定理では、測度0または確率0のxの値の集合を除いて、

 (2.25)   \lim_{N\rightar\inft}\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^Nf(T^nx)=\Bigint_0^1f(x)dx

を得る。\{T^\lambda\}の場合にも同じような結果が成立する。こうして、ギブスが位相平均を時間平均でおきかえたことが正当化される。

さて「[サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(1)]」からここまでの引用で、

  • 変換T/変換\{T^\lambda\}
  • ノイマンとクープマンの定理/バーコフの定理

の組合せがありました。これらの全部を考察するのは今の私には大変なので

  • 変換Tを用いた時のバーコフの定理

を採り上げて、その意味するところを考えてみようと思います。「バーコフの個別エルゴード定理」に続きます。