バーコフの個別エルゴード定理

サイバネティックス 第2章「群と統計力学」から(1)」から「(3)」までの引用から、変換Tを用いた時のバーコフの定理の記述を再構成します。


記述1

集合Eを考える。Eの測度は1とし、かつEは保測変換TによってEそれ自身に変換されるものとする。E上で定義された複素数値関数f(x)を考える。f(x)xに関し可測であるとする。

  • \Bigint_E|f(x)|dx<\infty

であるとする。ここで

  • f_N(x)=\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^Nf(T^nx)

と定義する。


バーコフの個別エルゴード定理
測度0であるようなxの集合を除いては

  • f^*(x)=\lim_{N\rightar\infty}f_N(x)

が存在する。


記述2

次に測度可遷的の意味を定義する。

  • 「測度可遷的」とは、変換Tが、E内の測度が0でも1でもないような点xの任意の集合を不変にしない場合をいう。

記述3

変換Tが測度可遷的であれば、f^*(x)がある範囲の値をとるようなxの集合の測度は、ほとんど常に1か0となる。
これはf^*(x)がほとんど常に一定でなければ不可能なことである。
したがってf^*(x)がほとんど常にとる値は、
\Bigint_0^1f(x)dx
となる。よって、測度0のxの値の集合を除いて、
\lim_{N\rightar\inft}\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^Nf(T^nx)=\Bigint_0^1f(x)dx
を得る。





バーコフの個別エルゴード定理 記述1」に続きます。