「バーコフの個別エルゴード定理 記述2(その3)」の続きです。
【記述3】
変換が測度可遷的であれば、がある範囲の値をとるようなの集合の測度は、ほとんど常に1か0となる。これはがほとんど常に一定でなければ不可能なことである。したがってがほとんど常にとる値は、
となる。よって、測度0のの値の集合を除いて、
を得る。
まず
がある範囲の値をとるようなの集合の測度は、ほとんど常に1か0となる。
の解釈ですが、以下のように考えました。
図の2つの赤線ではさんだ領域がのある範囲を示しています。はの値によっていろいろな値をとりますから、この範囲内にあるようなの値からなる集合を考えることが出来ます。それが図で灰色で示した領域です。つまり、範囲の下限を、上限をとすると
であるようなの集合です。これが、変換が測度可遷的であれば、の測度はほとんど常に0か1になる、というのです。
- 今、書いていてなぜ「ほとんど常に」と書いてあるのか分からないことに気づきました。これは例外的にの測度が0でも1でもないことがあるということを言っているのかもしれません。でもそれは何に対して「ほとんど常に」なのでしょうか? 私には分かりません。
私が理解しようとして考えた内容は以下のようなものです。
まず、は変換について不変です。これは以下のようにして明らかになります。
のに変換をほどこすと
よって
ここでとすると
よって
これでは変換について不変であると考えました。
「バーコフの個別エルゴード定理 記述3(その2)」に続きます。