普段からデジカメを持っていないとシャッターチャンスを逃すものですね。もう1週間以上まえのことになりますが、朝熊神社と朝熊御前神社にお参りした時のことです。
この時、この石段にカニが潜んでいました。そのカニは私が近づくにつれて石段の奥に隠れるような様子をしましたが実は隠れるのではなくて、その石段を一段登り、次の段に立って、大きいほうのはさみを(左右のはさみの大きさが異なっていたので)振り上げて、傲然と立っていました。ちょっと威圧される感じです。カニの大きさは片手の手のひらぐらいありました。その横を注意して石段を踏みしめ私は神社のある上のほうへ進みました。しばらく登ってから振り向くとそのカニは、さきほどみた姿のまま、はさみを振り上げていました。ふと私は、このカニはこの神社の衛り手か、と思いました。そして古代メソポタミアの叙事詩「ギルガメシュ」に登場するサソリ人間を思い出しました。これは日の出や日没の時に太陽神が通ると想像されたトンネルの入口を守るとされる者たちです。そういえばこれからお参りする神社のご祭神も太陽神の眷属でした。私は、この誇らしげな神社の守り手を写真に撮っておきたい、と思ったのですが、あいにくその時はデジカメを持っていませんでした。
(これは5月にお参りした時に撮った写真です。)
階段を昇りきってヤシロのある場所に着いた時には、先ほどのカニよりも赤みがかったカニが私の気配を感じたのか、ヤシロに向かう石段の陰に急いで隠れるのが見えました。
私は、家族のこと、親戚の無事を祈って、帰りました。帰る時にはさきほどの威圧的なカニはどこかに消えてしまっていました。