見たい。映画「アレクサンドリア」

映画に関してはいつも関心のない私ですが、この頃このブログが「ヒュパティア」という単語でアクセスされるのを不思議に思って調べたら、なんと最近ヒュパティアを主人公にした映画が封切られたとのこと。・・・・こっこれはっ・・・見たいッ! (だが、ここに住んでいると見に行くのは大変だ)

この予告編の1:30のところを見ると、岡野玲子の「陰陽師 12」

に唐突に出てくるヒュパティアの一場面を思い出す。このヒュパティアの話は、前後の安倍清明の話とは切り離された11ページの断章であるがとても印象深い。アレクサンドリアの聖省長官オレステスがヒュパティアに、逃亡を進める場面だ。

  • オレステス
    • ヒュパティア。今日という今日は頼みます。ここから逃げて下さい。このアレクサンドリアから。キュリロスが総大司教になった今、彼はあなたにあからさまに牙をむいてきます。私ももう、彼からあなたを守れるか・・・・・
  • ヒュパティア
    • オレステス。私には・・・・愛するものがあるので偽れない。
  • オレステス
    • それでも、ここに留まる危険をおかすことはない。アテナイがある。それに、ここでの、あなたの功績が抹殺されるわけではない。
  • ヒュパティア
    • オレステス・・・・。このアレクサンドリアは、かつて地中海の真珠と、海の神に愛され、世界で最も栄えていた時期がありました。その時、世界の知のすべてが、この都市の図書館に集約されたのです。・・・・・・幾何学、数学、科学、哲学、そして音楽、詩(ことば)、他にも色々、色々・・・・。それら皆が帰結するところは一つ。すべて一つ・・・・・私はその一つにここまで導かれた。このアレクサンドリアの図書館で。私はそれに背を向けて離れることはできない。愛が・・・・深すぎて・・・・


全て「陰陽師 12」より


この「一つ」ト・ヘン(to hen)だろう。私は中学の時に新プラトン主義というものの存在を知り、その時から「ト・ヘン(to hen)」に憧れてきた。

関連エントリ


ところでヒュパティアが虐殺された紀元415年というのはどんな時代かと調べてみたら、ローマ皇帝テオドシウス2世の時代だった。この年の近くの歴史的事件には紀元410年の西ゴート族によるローマ劫掠がある。あと、テオドシウス2世と言えば、皇妃エウドキア(=アテナイス)の物語がある。