Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(5)

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2. 期待待ち時間
ここでは(定常状態でのサービス開始までの)期待待ち時間に注目する。いくつかの記法を導入し(セクション2.1)、期待待ち時間EWを4つの他の平均値に関連付ける(セクション2.2)。古典的なM/M/mモデルを考察し(セクション2.3)Sakasegawa (1977)とHalfinとWhitt (1981)の近似公式を紹介し、重負荷近似を検討し(セクション2.4)、D/M/mモデルとM/D/mモデルのCosmetatos (1975)の近似を検討する(セクション2.5)。最後に、一般のGI/G/mモデルの近似を開発し(セクション2.6)数値比較を行う(セクション2.7)。


2.1. 基本的な記法
 慣例に従って、MDE_kH_kGが各々、指数、決定論的、k次のアーラン、超指数(k個の指数の混合)、一般の分布を示すものとする。GI/G/mモデルにおける到着間隔時間とサービス時間についてこれらの分布を考慮する。常にこのモデルは平衡状態に、つまり定常状態にあると見なす。
 Wはサービスを開始するまでの待ち時間を表すとしEWはその期待値であるとする。EW(M/H_2/m)M/H_2/mモデルにおけるEWを示す。トラフィック密度を通常通り\rho=\lambda\tau/mで定義する。システムが安定するように\rho<1を仮定する(待ち時間の系列について正しい定常状態分布が存在する)。\tau=1\lambda=m\rhoであるとの理解のもとにEW(\rho,c_a^2,c_s^2,m)が4パラメータ(\rho,c_a^2,c_s^2,m)の関数としてのEWを表すものとする。

  • EW(\lambda,c_a^2,\tau,c_s^2,m)=\tau{EW}(\lambda\tau,c_a^2,1,c_s^2,m)

がこれらのパラメータを持つ任意のGI/G/mモデルについて正確な関係であるので、パラメータを5つから4つに減らしEW(\rho,c_a^^2,c_s^2,m)を考察することは十分である。
 ここでの近似は全て基本4つ組(\rho,c_a^2,c_s^2,m)に依存する。若干の場合余分な情報が非常に役立つことがある。例えば、Whitt (1984a, 1984b, 1989)はm=1の時、到着間隔時間の3次モーメントがEWの近似をどのように向上させるかを示している。我々はここでは一貫して基本4つ組(\rho,c_a^2,c_s^2,m)のみを考察する。