Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(6)

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2.2. 関係する混雑尺度
 期待待ち時間のほかに、他の4つの関係する平均値も考察する。Qを(到着の瞬間ではなくて)任意の時刻の待ち行列長(待っている客の数。サービス中の客は数えない)とし、Bを任意の時刻でのビジーなサーバの数であるとし、Nを任意の時刻でのシステム内の客の数であるとし、Tを客の滞在時間(待ち時間プラスサービス時間)であるとする。明らかにN=B+QでありT=W+Vである。ただしVはサービス時間である。よって

  • EN=EB+EQ
  • ET=EW+\tau・・・・(2.1)

また、リトルの法則[(異なる記法で)関係L=\lambda{W}、HeymanとSobel (1982, セクション11.3)、Franken, Koenig, Arndt, Schmidt (1981, 第4章)、Whitt (1991)]から

  • EB=m\rho=\lambda\tau
  • EQ=\lambda{EW}
  • EN=\lambda{ET}・・・・(2.2)

 GI/G/mモデルの独立性の仮定がなかったとしても、(2.1)と(2.2)内の全ての公式は正確である。その結果、複雑なオープン待ち行列ネットワーク・モデルにおいて、これらの関係はいかなる仮定もなしで有効である。特に\rhoEBは到着レートとサービスレートにのみ依存するので、もしこれらが分かっているならば、(2.2)における\rhoEBは正確である。EBは(2.1)によってしばしばENの大きな部分なので、EQの任意の適切な近似はしばしばENの非常に近い近似をもたらす。
 例1 上記の(2.1)と(2.2)の正確な関係式の威力を示すために、我々は\rho=0.90であるE_4/M/20モデル内のEN(システム内の客の期待数)に興味があるとしよう。表5から我々はEQの正確な値は2.55であるのを見るが、以前のQNA近似(Whitt 1983a, セクション5.2)と新しい近似はそれぞれ3.10と2.67である。よってEQについて、相対誤差パーセンテージ(100×|正確−近似|/正確)はそれぞれ21.6%と4.7%である。(この比較は我々の新しい近似から得られるものを示している。) しかし我々はEBを正確に知っている。(2.2)によりEB=m\rho=18。よって、ENの正確な値は20.55であり、一方、近似値は21.10と20,67である。ENについて2つの近似の相対誤差パーセンテージはよってそれぞれ2.7%と0.6%である。ENについての両方の近似は、主に(2.1)と(2.2)の正確な関係式によって、非常に近い。
 \lambda\taumを与えるとEWENEQETの4つ全てを求めるのに、(2.1)と(2.2)に従って4つのどれか一つを決定すれば充分である。よって私はEWについての近似を開発し、次に(2.1)と(2.2)を適用してEQENETの近似を求める。我々はEQEWの近似値を正確な値と比較する。そこでは1つの近似だけが必要である。例1はENETの対応する近似の相対精度は必然的によりよく、しばしば相当によいことを示している。