6.3.1.会話型システムのモデル:Quantitative System Performance

6.3. ケーススタディ」の続きです。(目次はこちら

6.3.1.会話型システムのモデル


 我々はまずコンピュータ・システムへの待ち行列ネットワーク・モデル化の最初期の応用は何であったかを考察する。このスタディの時代(それは1965年になされた)にもかかわらず、その歴史的な興味のために、また、それが極端に単純なモデルが性能の正確な予測者であり得ることを鮮やかに示すために、我々はこのスタディを含める。
 スタディするシステムはCompatible Time-Sharing System (CTSS)を実行するIBM 7094である。CTSSはスワッピングに基づいた試験的会話型システムであった。1名のユーザだけが一度に「アクティブ」であり得た。システム全体(CPU、ディスク、メモリ)は1つのユニットとしてユーザ間で「時分割」された。

  • 図6.1 会話型システム・モデル


 このスタディの目的は、システムの応答時間の振舞をユーザ数の関数として調査することであった。これを実行するために図6.1のモデルが構築された。それはユーザ個体数を表現する端末作業負荷と、システム(CPUとディスク)を表現する単一のサービスセンターを含んでいる。一度に1名のユーザしかいないため、CPUとディスクでの処理にオーバラップがあり得ない(このシステム上の個々のユーザはこの機能を利用しなかった)ので、この単一サービスセンター表現は充分である。よって平均応答時間についてユーザがCPUかディスクのいずれで時間を費やしたかは(モデルでは)問題ではなく、単に適切な量の時間が起こることが重要である。
 システムを表現するのに単一サービスセンターを用いることにより、我々はメモリ制約問題を解いてしまっていることに注意しよう。仮にモデルがCPUとディスクの別々のサービスセンターを含んでいたとしたら、それは客たちが両方で同時に処理されることを許してしまうが、実際のシステムではこれは可能でないので、モデルはそれほど正確でなかったであろう。メモリ制約を表現するために多くのサービスセンターを単一のサービスセンターにまとめてしまうテクニックは第9章で説明するように非常に強力な仕方で拡張出来る。
 モデルはシステム使用時にとられた測定データによってパラメータ値を決定された。それは平均考慮時間と平均のCPUとディスクの処理時間と平均メモリ要求を提供した。システム・サービスセンターでの処理要求時間は測定された処理時間と平均サイズのジョブをスワップするのに必要なディスク処理時間の合計に等しく設定された。次にモデル内の客の数を変え、各々の個体数について応答時間の見積が得られた。図6.2はモデル予測を測定された応答時間と比較している。

6.3.2.修正解析のあるモデル」に続きます。