ガンマ分布

ガンマ関数」でガンマ関数\Gamma(x)を取り上げたのは、ガンマ分布を紹介するためです。ガンマ分布はアーラン分布を一般化したものです。「アーラン分布」で述べたように、アーラン分布は自然数kと正の実数\lambdaの2つのパラメータによって決まる分布で、その確率密度関数

  • f(t;k,\lambda)=\frac{\lambda^kt^{k-1}}{(k-1)!}\exp(-\lambda{t})・・・・(1)

で定義されます。この自然数k正の実数\alphaに拡張したものがガンマ分布です。


元々アーラン分布というのは「アーラン分布」で示したように、平均1/\lambdaの指数分布に従うk個の独立な確率変数の和で定義される確率変数の分布と見ることが出来ます。つまり、平均1/\lambdaの指数分布を持つk個の独立な確率変数X_iを考え、

  • E_k=\Bigsum_{i=1}^kX_i・・・・(2)

であるような確率変数E_kを考えると、E_kは式(1)の確率密度関数を持つアーラン分布に従うことになります。そういう意味でガンマ分布を考えることは、同じ平均値を持つ指数分布を1.2個足すとか、\sqrt{5}個足すとかいう想像しづらいことを考えることになります。


しかし、ここではそのような意味については考えないことにします。式(1)に現れる階乗(k-1)!は「ガンマ関数」によれば\Gamma(k)に等しいので、式(1)で自然数kを実数\alphaに拡張するには、k\alphaに置き換え、(k-1)!\Gamma(\alpha)に置き換えればよいことになります。すると式(1)は以下のようになります。

  • f(t;\alpha,\lambda)=\frac{\lambda^{\alpha}t^{\alpha-1}}{\Gamma(\alpha)}\exp(-\lambda{t})・・・・(3)

これがガンマ分布の確率密度関数の式ですが、ガンマ分布ではパラメータとして\lambdaよりも\beta=1/\lambdaを用いるようです。(理由はよく分かりません。) そうすると式(3)は次のようになります。

  • f(t;\alpha,\beta)=\frac{t^{\alpha-1}}{\beta^{\alpha}\Gamma(\alpha)}\exp(-\frac{t}{\beta})・・・・(4)

これがガンマ分布の確率密度関数の式です。



ガンマ分布は\alpha自然数の時に\alpha次のアーラン分布になります。下のグラフに\alpha=1(1次のアーラン分布、つまり指数分布)、\alpha=1.5\alpha=2(2次のアーラン分布)のガンマ分布を示します。この3つは同じ平均値1を持ちます。\alpha=1.5のガンマ分布が、1次のアーラン分布と2次のアーラン分布の中間の分布を示している様子が分かると思います。