待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式(7)

待ち行列システムGI/G/1における待ちについての近似公式(6)」の続きです。

幾何分布のバッチサイズ
最初の例は、以下の幾何分布のバッチサイズを持つ。

  • P_K=\left\{{0\text{                     K=0}\atop{{(1-p)\cdot{p}^{K-1}}\text{    K>0}}・・・・(4.14)

よって

  • E(K)=\frac{1}{1-p}・・・・(4.15a)
  • Var(K)=\frac{p}{(1-p)^2}・・・・(4.15b)

そして(4.7)によって

  • c_H*^2=(1-p)\cdot{c}_H^2+p・・・・(4.16)

p_0=0なので、c_A*^2=c_{AB}^2=0。確率pは、次の単一要求が同じバッチに属する確率であると解釈出来る(つまり、通常の単一到着GI/G/1の記法の場合、p=F_A(0))。
以下の例はp=1/3を(よってE(K)=1.5Var(K)=0.75となる)、そしてまたE(T_H*)=1.5\cdot{h}を採用している。(4.1)と(4.4)からE(T_W)Wの近似値を計算することが出来、ここではさまざまなサービス時間分布関数についてなされている。図4.1と4.2を参照。

    • 図4.1 サンプルされたバッチ到着システムの平均待ち時間
    • 図4.2 サンプルされたバッチ到着システムの待ちの確率

これらの結果は非常に少ない計算労力で得られたことを覚えておこう。



ポアソン分布のバッチサイズ
もし単一要求が、マイナスの指数分布の到着間隔時間を持つサンプルスイッチの前に到着するならば、バッチサイズの分布はポアソン分布であり、Var(K)/E(K)=1となる。
図4.3に示す例において、クロック時間は平均サービス時間と等しくなるよう選ばれ(E(T_{AB})=E(T_H))、そこからA=E(K)が導かれ、よってポアソン分布によってp_0の値を決定する。次に(4.9)からc_A*^2=p_0であり、一方、c_H*^2は(4.7)によって決定される。

    • 図4.3 サンプルされたバッチ到着システムの平均待ち時間(ポアソン分布のバッチサイズ)


実線は正確な結果であり、MとE2についての曲線はWEISSCHUHとWIZGALLのプログラム*1によって計算された。一定サービス時間については以下が単純に成り立つ(LANGENBACH-BELZ*2 )

  • E(T_W)=\frac{A}{2(1-A)}\cdot{h}・・・・(4.17)


待ちの確率Wについての対応する曲線は、シミュレーションと近似計算の両方において、3つ全ての分布関数について線W=Aと同一になった。よってここでは示さない。




W. Kraemer and M. Langenbach-Belz,「Approximate Formulae for the Delay in the Queueing System GI/G/1」より

*1:WEISSCHUH, H., WIZGALL, M. Investigations of the Traffic Behavior of the Common Control in SPC Switching Systems. 8th ITC, Melbourne, 1976 (this volume)

*2:LANGENBACH-BELZ, M. Sampled Queueing Systems Proc. Symp. on Computer Communications Networks & Teletraffic, Polytechnic Press, Brooklyn, New York, 1972.)