M/G/1/2待ち行列(7)

M/G/1/2待ち行列(6)」の続きです。
私はまだ自分が導き出したM/G/1/2待ち行列の定常状態確率の近似式

  • c_e=0の時
    • p(0)=\frac{e^{-u}}{e^{-u}+u}・・・・(40)
    • p(1)=\frac{1-e^{-u}}{e^{-u}+u}・・・・(41)
    • p(2)=1-\frac{1}{e^{-u}+u}・・・・(42)
  • c_e>0の時
    • p(0)=\frac{1}{1+u(c_e^2u+1)^{1/c_e^2}}・・・・(43)
    • p(1)=\frac{(c_e^2u+1)^{1/c_e^2}-1}{1+u(c_e^2u+1)^{1/c_e^2}}・・・・(44)
    • p(2)=1-\frac{(c_e^2u+1)^{1/c_e^2}}{1+u(c_e^2u+1)^{1/c_e^2}}・・・・(45)

について心配があります。というのは、上記の式を導き出すのに使用した分布がアーラン分布であって、アーラン分布の場合変動係数がc_e{\le}1になります。また、「M/G/1/2待ち行列(5)」「(6)」で検証に使った分布

  • g(t)=\frac{1}{2}\{\delta((1-c_e)t_e)+\delta((1+c_e)t_e)\}・・・・(47)

も変動係数が0{\le}c_e{\le}1です。よって、上記の式の検証としてはサービス時間の変動係数が0{\le}c_e{\le}1の場合しかやっておりません。心配なのは、c_e>1の時も上記の近似式が使い物になるか、ということです。そこで、c_e>1の場合近似の程度がどうなのか調べてみます。


c_e>1の分布の代表例として「バランスのとれた平均を持つ超指数分布」を用います。バランスのとれた平均を持つ超指数分布は

  • f(t)=p\gamma_1\exp(-\gamma_1t)+(1-p)\gamma_2\exp(-\gamma_2t)・・・・(49)

の形に書ける関数です。ただし

  • \gamma_1=\frac{2p}{t_e)}・・・・(50)
  • \gamma_2=\frac{2(1-p)}{t_e}・・・・(51)
  • p=\frac{1}{2}\left[1+\sqrt{\frac{c_e^2-1}{c_e^2+1}}\right]・・・・(52)

です。ここでt_eはこの分布の平均、c_eは変動係数です(詳しくは「バランスのとれた平均を持つ超指数分布」を見て下さい。)
では、このf(t)を式(16)

  • A=\Bigint_0^{\infty}\exp\left(-\frac{t}{t_a}\right)g(t)dt・・・・(16)

に代入してAを計算してみます。すると

  • A=p\gamma_1\Bigint_0^{\infty}\exp\left(-\left(\frac{1}{t_a}+\gamma_1\right)t\right)dt+(1-p)\gamma_2\Bigint_0^{\infty}\exp\left(-\left(\frac{1}{t_a}+\gamma_2\right)t\right)dt・・・・(53)

ここで式(50)を使うと

  • \frac{1}{t_a}+\gamma_1=\frac{1}{t_a}+\frac{2p}{t_e}=(u+2p)\frac{1}{t_e}・・・・(54)

式(51)を使うと

  • \frac{1}{t_a}+\gamma_2=\frac{1}{t_a}+\frac{2(1-p)}{t_e}=(u+2(1-p))\frac{1}{t_e}・・・・(55)

なので、式(54)(55)を式(53)に代入して

  • A=p\gamma_1\Bigint_0^{\infty}\exp\left(-\frac{u+2p}{t_e}t\right)dt+(1-p)\gamma_2\Bigint_0^{\infty}\exp\left(-\frac{u+2(1-p)}{t_e}t\right)dt
    • =p\gamma_1\frac{t_e}{u+2p}\left[\exp\left(-\frac{u+2p}{t_e}t\right)\right]_0^{\infty}+(1-p)\gamma_2\frac{-t_e}{u+2(1-p)}\left[\exp\left(-\frac{u+2(1-p)}{t_e}t\right)\right]_0^{\infty}

よって

  • A=p\gamma_1\frac{t_e}{u+2p}+(1-p)\gamma_2\frac{t_e}{u+2(1-p)}・・・・(56)

ここで式(50)(51)を使うと

  • A=\frac{2p^2}{u+2p}+\frac{2(1-p)^2}{u+2(1-p)}・・・・(57)

ここに式(52)を代入すればAを求めることが出来ますが、代入してもあまりきれいな式ではないのでこのままにします。ここで求めたAを「M/G/1/2待ち行列(1)」の

  • p(0)=\frac{A}{A+u}・・・・(9)
  • p(1)=\frac{1-A}{A+u}・・・・(11)
  • p(2)=1-\frac{1}{A+u}・・・・(12)

に代入して定常状態確率分布を求めることが出来ます。