謎の大王(おおきみ) 継体天皇

謎の大王 継体天皇 (文春新書)

謎の大王 継体天皇 (文春新書)

継体天皇が謎であるのは、この時代自体が謎が多いからです。まだ、この時代は古くて分からないことが多いと思います。私の頭の中では、この本で継体天皇の時代を読み、それを遠山美都男氏の「天皇と日本の起源」につなげて持統天皇まで続ける読み方が、この時代の歴史の読み方になっています。
継体天皇の謎の1つは、ここで王朝交替があったかどうか、ということです。日本書紀によれば、継体天皇はその前の武烈天皇との血縁がものすごく薄いです。5代先祖をさかのぼると同じ人(応神天皇)にたどり着く、という薄さです。ですから、ここで王朝交替があったという説は昔からあります。
もう1つの謎はその崩御の年にいくつも説があり、それに絡んで、継体天皇没後に二朝並立したのではないか、という説が出されています。
この本では前者の王朝交替については、継体は応神天皇の血統を受け継ぐ王族であったが、継体天皇即位に当たっては何らかの権力交替はあった、としています。また、後者の二朝並立については、そのような事実はなかったが、継体没後に政変があり、安閑天皇が殺され宣化天皇が即位した、としています。