TLの変動がサイクルタイムに与える影響

TLが一定の場合のG/G/1のサイクルタイム定理の意味するところをさらに検討します。
この定理によればロードポートネックが存在しない場合、TLが一定であれば、M2にM1と同じロット到着系列を与え、その時のサイクルタイムTLTUの平均値を足せば、M1のサイクルタイムが求まる、ということです。
一方、TLが変動するのであれば、M1のサイクルタイムを求めるためには、M2にはM1のロット到着時刻にTLを足したものを新たなロット到着時刻とするようなロット到着系列を与えなければなりません。
もし、M1におけるロット到着が一定間隔である(下図)とすると、

これにTLを足すことにより、M2のロット到着間隔は下図に示すように変動を持つようになります。

Kingmanの近似式

  • CT_q=\left(\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\right)\frac{u}{1-u}t_e
    • ただし
    • CT_q:キューでの待ち時間
    • c_a:ロットの到着間隔の変動係数
    • c_e:装置処理時間の変動係数
    • u:装置の利用率
    • t_e:装置の平均処理時間

により、ロット到着間隔の変動が大きくなれば、到着間隔の変動係数c_aが大きくなり、キューでの待ち時間CT_qが大きくなり、結局サイクルタイムが長くなることが分かります。よって、

ことが分かります。
では、ロット到着間隔が一定値ではなく、一般の分布を持つ場合はどうなるでしょうか? 残念ながら私はその解を持っていません。しかし、特殊な場合として、ロット到着間隔が指数分布の場合のみは解を持っています。それについては「搬送時間ありM/G/1のサイクルタイム定理」で述べます。予め結論を述べますと、

です。