第15章 製造スケジューリング の概要

製造スケジューリングは困難な問題である。それはひとつには両立しない多くの目標(オンタイム配達と最小WIPとより短い顧客リードタイムと装置の最大利用率)を追求するためであり、もうひとつにはスケジューリングの背後にある数学が複雑なためである。
このために、まず別の問題を解くことによってスケジューリングの困難を軽減する。その例としてこの章はサイクルタイムを短縮するためのバッチサイズの検討と(サイクルタイム短縮はスケジューリングをより容易にする)、納期回答について検討する。スケジューリング作成においては厳密な意味での最適解を求めず(最適解を求めるには非現実的なぐらい厖大な時間がかかる可能性がある)、ヒューリスティクを使用することが実際的である。有力な方法はボトルネック・ステーションのスケジューリングを先に行い、そののちに他のステーションのスケジューリングを行う方法である。
スケジューリング研究とソフトウェア開発における最近の重要な傾向は有限キャパシティ・スケジューリングである。有限キャパシティ・スケジューリングのための効果的な方法は、システムがスケジュールの実現可能性を評価することである。これを実施するように設計された手順がキャパシティ考慮材料所要計画(Capacitated Material Requirements Planning)、MRP−Cである。
最後に、スケジューリングは本質的にプッシュ思想であるが、スケジュールをCONWIPのようなプル・システムと連携して用いることは可能である。基本の考え方はジョブのリリースを計画するためにはスケジューリング・システムを用い、計画を実行するためにはプル・システムを用いることである。これはプル・システムのメリットとスケジューリング・システムのメリットの両方を提供する。


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