How Factory Physics helps simulation:2.材料保存の法則


上位エントリー:Charles R. Standridge: How Factory Physics helps simulation 概要
How Factory Physics helps simulation:1.導入」の続きです。

材料の保存の法則は次のように述べられる。
安定したシステムでは、長期間で見れば、システムを出て行くレートは入るレート引く歩留ロスに等しい。この法則は等式の形式で表現出来る(1)。

  • Rate_{out}=Rate_{in}-Rate_{Loss}・・・・・(1)

 この法則はシミュレーション・プロジェクトにおいて確認と検証の証拠を得る方法として応用がある。それはこの目的のために以下のように言い換えることが出来る。シミュレーション・ランの間に生成されるエンティティの数は消滅した数、プラス、ランの最後にシステムに残った数に等しい。生成されたエンティティの数は、初期条件である、ランのスタート時点でシステムに最初にあるエンティティを含む。この考えは式(2)にも表現される。

  • 生成+初期=消滅+残存・・・・・(2)

 エンティティはシステムによってなされる処理によって行動し転化するパーツや客や情報などを表すモデル化要素である。よって、保存法則は、正しいことを示す時に、モデルが正しく実装され有効である証拠を提供するバランス式を提供する。
 単純なシステムを考察しよう。個々のワークステーションの前にバッファを持つ直列になった2つのワークステーションである。エンティティは最初のステーションの前のバッファに到着し、2番目のステーションで処理後に消滅する。よって、このシステムのシミュレーションの個々の反復において、到着するエンティティの数、プラス、最初に存在する数は消滅した数、プラス、最後にシステムにある数に等しい。この後者の数は個々のバッファ、プラス、個々のステーションで処理中の数に等しい。
 この方法はエンティティが存在し得る各々の場所を特定することを含むことに注意しよう。これはエンティティが現在モデルの中を移動していて迷子になったり、さもなければ失ったりしていないことを確認することを助ける。
 保存法則が守られており、かつそれが、モデルが間違って実装されていたり無効であったりする証拠になることはあり得る。例えば、直列システムになった2つのワークステーションでシミュレーション・ランが100個のエンティティを到着させ、最後に10個が消滅し90個がシステムに残っているとしよう。最後にシステムにエンティティの90%が残っているという事実は処理に問題がある。おそらくワークステーションの1つがキャパシティ不足であることを示している。
 この法則は他のタイプのシステムと同様より複雑なシステムにも適用可能である。図1に示すMaas(2003)によって記述された生産と在庫の管理システムについて考察しよう。カッコ内の数はバッチサイズを示している。
 1つのあわラインと複数の射出成形装置を用いるこのシステムによって生産される26種類の製品がある。各々の製品は自分の在庫を持つ。顧客需要は在庫から引き当てられる。在庫量が予め指定した目標値より下がると、目標値まで在庫量を回復させるために生産システムにオーダーが送られる。
 この場合、保存法則は各々の製品に個別に適用され次のように書き直される。最初の在庫+生産量=顧客への出荷−最終在庫。保存法則の使用は、システムの各々のコンポーネント間のバッチサイズ間の保存が正しく行われていたことを保障するのに役立つ。

  • 図1 生産と在庫のシステム


How Factory Physics helps simulation:3.ステーション・サイクルタイムの定義」に続きます。