How Factory Physics helps simulation:7.利用率の法則


上位エントリー:Charles R. Standridge: How Factory Physics helps simulation 概要
How Factory Physics helps simulation:6.現実的なワーストケースの定義」の続きです。

利用率の法則は以下の通りである。もしステーションが他のいかなる変更もなしに利用率を増加させるならば、平均WIPと平均サイクルタイムは非常に非線形的に増加する。この法則は、ステーションに装置が1台ある場合に式(5)として示されるVUT式の中に具体化されている。

  • CT_q=\frac{(c_a^2+c_e^2)}{2}*\frac{u}{1-u}*t_e=V*U*T・・・・・(5)

ただしCT_q待ち行列、あるいはバッファ、内の平均サイクルタイムであり、c_aは到着間隔時間の変動係数であり、c_eは到着間隔時間の変動係数標準偏差を平均で割ったもの)であり、u利用率(ビジーな時間の割合)であり、t_eは処理時間である。待ち行列内のエンティティの平均個数は式(5)とリトルの法則を用いて計算出来ることに注意しよう。
 シミュレーション・スタディでは、この式が表現する関係についてこの式は役立つ。V項は到着間隔時間と処理時間の2乗変動係数の平均を処理しなければならない。指数分布はしばしば到着間隔時間をモデル化するために使用され、そして現実的なワーストケースに対応しているが、c_a=1である。処理時間をモデル化するのに使用される分布のような他の分布については、c_e<1である。もし処理時間が定数あるいはほとんど変動がない(c_e<<1)ならば、V項はc_aによって支配される。よって、利用する分布の平均と標準偏差について確率量を正確にモデル化することは重要である。LawとMcComas (2003)によっても議論されたように、そうしないことはサイクルタイムWIPのようなパフォーマンス尺度の不正確な見積をもたらすだろう。
 利用率が増加するにつれてのサイクルタイム非線形の増加を示すためにU項と利用率のグラフを図3に示す。
 システム運用の1つの目標がサイクルタイムを、少なくとも時間の与えられた割合で、予め決めた数値より少なくすることであるとしよう。この目標を満足することは利用率を十分に低く保つためにキャパシティの追加を要求するかもしれない。そのような追加キャパシティの必要性を評価することはシミュレーション・スタディのよくある目的である。もう一つ別に、高利用率が運用目標であるとしよう。これはV項が、大きなU項の影響を打ち消すことによりサイクルタイムを低く保つのに十分なくらい小さくなければならないことを意味する。

よって、処理時間と到着間隔時間の変動はコントロールされなければならない。
 StandridgeとHeltne (2000)で検討され、図4で示すロジスティクス・システムを考察しよう。

 
 製品は反応器内で作られタンクに保管される。タンクから、製品は顧客への出荷のために鉄道車両に積まれる。顧客サイトで鉄道車両が荷降しした後、それらは再度積み込みのために工場へ戻る。
 式(2)で表現される関係に基づいて、75%の利用率基準が鉄道車両荷積み施設のために確立された。これは、顧客への製品出荷を積み込むために工場がその総サイクルタイム基準を満足させることを助けるために確立された。さらに、鉄道荷積み時間は大きな変動がある。よって車両と車両基地のリソースを長く待つことを避けるのに十分なほどこれらの利用率を低く保つために追加の鉄道車両車両基地キャパシティが必要とされる。式(2)に基づくこれらの洞察はシミュレーションを用いて詳細に確認され定量化された。


How Factory Physics helps simulation:8.CONWIPの法則」に続きます。