パートIII.特定サブシステムの表現:Quantitative System Performance
「パートII.一般的な解析的テクニック」の続きです。
パートIII.特定サブシステムの表現
成功した多くのモデル化スタディはパートIIで説明したテクニックを越えて冒険することなしに実行された。言い換えれば、これらのスタディで考慮されたシステム特性は分離可能待ち行列ネットワークのパラメータを用いて直接表現出来るスタディに制限されている。
解析者が分離可能ネットワークの境界内で可能であるよりもずっと詳細に特定のサブシステムを表現しようと希望するような状況は、もちろん存在する。それを行うためのテクニックはパートIIIの主題である。
分離可能ネットワークの特徴である効率的な評価は今日のコンピュータ・システムを解析するのに必須である。このため、非分離可能ネットワークは通常、それらを(たぶん数個の)分離可能ネットワークに「マッピング」することで評価される。このマッピングは必然的に近似になるので、これを行うテクニックは従来近似解テクニックと呼ばれてきた。しかし、このフレーズはあまり意味がない。というのは我々は分離可能ネットワークを評価する場合でさえ近似テクニックを用いるのであり、また、どのような待ち行列ネットワーク・モデルも現実のシステムの近似的な表現に過ぎないからである。
今のところこれらのテクニックの背景となる統一理論は存在しない。しかし、それらが依拠する少数の考えが存在する。これらの考えの中には以下のものがある。
- 繰り返し
- 負荷隠蔽
- 分解
全てのテクニックが完全に一般的というわけではない。我々はサブシステムの詳細な表現を促進するためにモデルの若干の側面においてしばしば均一性の仮定を導入することを見ることになるだろう。特定の例として、複数クラス・メモリ制約待ち行列ネットワークを評価するために、我々は個々のクラスのスループットはそれ自身の中心サブシステム個体数と、他の各々のクラスの平均中心サブシステム個体数にのみ依存すると仮定することになる。
我々は我々の検討を3つの章に組織した。それらの章はメモリとディスクI/Oとプロセッサの表現を考察する。パートIIで提示された分離可能待ち行列ネットワークを評価するためのアルゴリズムの場合と同じように、パートIIIで提示するテクニックは一般に、待ち行列ネットワーク解析パッケージに、解析者に見えないレベルで組み込まれることになる。これらのテクニックを理解せずにこれらを用いることは可能であるが、そのような理解をすることは次の2つの理由で重要である。つまり、それらを自信を持って適切に用いることが出来るようにするためであり、そして、解析者が新規の状況に直面した時に関連するテクニックを工夫して作り出すことが出来るようにするためである。そのような新規の応用の若干の例はパートVで与えられることになる。
「パートIV.パラメータ値決定」に続きます。