ちょっと面白い積分

まだ何の役に立つのか分かりませんが、ちょっと面白い積分の式を導くことが出来たのでご紹介します。

  • \Bigint_0^t\frac{x^k}{k!}\exp(-x)dx=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^k\frac{t^n}{n!}・・・・(1)
    • ただしkは0以上の整数です。


以下のようにして数学的帰納法で証明しました。まずk=0の時、式(1)の左辺は

  • \Bigint_0^t\exp(-x)dx=\left[-\exp(-x)\right]_0^t=1-\exp(-t)

となり、式(1)の右辺は

  • 1-\exp(-t){\times}\frac{t^0}{0!}=1-\exp(-t)

となるので、式(1)は成り立ちます。


次に、k=sの時に式(1)が成り立つとします。つまり、

  • \Bigint_0^t\frac{x^s}{s!}\exp(-x)dx=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^s\frac{t^n}{n!}・・・・(2)

です。式(2)の左辺は、部分積分を使うと

  • \Bigint_0^t\frac{x^s}{s!}\exp(-x)dx=\left[\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-x)\right]_0^t-\Bigint_0^t\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}(-\exp(-x))dx
    • =\frac{t^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-t)+\Bigint_0^t\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-x)dx

よって

  • \Bigint_0^t\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-x)dx=\Bigint_0^t\frac{x^s}{s!}\exp(-x)dx-\frac{t^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-t)・・・・(3)

式(3)に式(2)を代入すると

  • \Bigint_0^t\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-x)dx=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^s\frac{t^n}{n!}-\frac{t^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-t)

よって

  • \Bigint_0^t\frac{x^{s+1}}{(s+1)!}\exp(-x)dx=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^{s+1}\frac{t^n}{n!}・・・・(4)

よってk=s+1の時にも式(1)は成り立つことが分かります。よって、ゼロ以上の任意の整数kについて式(1)は成り立ちます。


さらに、aを任意の定数として

  • x=ay・・・・(5)

と置きます。すると

  • dx=ady・・・・(6)

となり、式(1)の左辺の積分の範囲をyで考えれば0からt/aまでとなります。よって式(1)は

  • \Bigint_0^{t/a}\frac{a^ky^k}{k!}\exp(-ay)ady=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^k\frac{t^n}{n!}

となります。よって

  • \Bigint_0^{t/a}\frac{a^{k+1}y^k}{k!}\exp(-ay)dy=1-\exp(-t)\Bigsum_{n=0}^k\frac{t^n}{n!}・・・・(7)

ここで

  • u=\frac{t}{a}・・・・(8)

と置くと、式(7)は

  • \Bigint_0^u\frac{a^{k+1}y^k}{k!}\exp(-ay)dy=1-\exp(-au)\Bigsum_{n=0}^k\frac{{au}^n}{n!}

この式で、改めてyxutに記号を置き換えると

  • \Bigint_0^t\frac{a^{k+1}x^k}{k!}\exp(-ax)dx=1-\exp(-at)\Bigsum_{n=0}^k\frac{a^nt^n}{n!}・・・・(8)

を得ることが出来ます。