M/G/1のp(k)の確率母関数(2)
M/G/1待ち行列のの確率母関数を求める別な方法は次の通りです。今度は、ジョブが処理終了時点での残りのシステム内ジョブ数は、このジョブが到着してから到着したジョブ数に(FIFOなので)等しい、という事実から考察します。ジョブの待ち時間の確率変数をとします。ジョブの処理時間の確率変数をとします。するとこのジョブが処理終了する時に待ち行列システム内にあるジョブはの間に到着したことになります。の確率密度関数をとします。時間の間にジョブが個到着する確率はポアソン分布の式(「ポアソン分布」参照)
- ・・・・(17)
なので、は
- ・・・・(18)
となります。
「M/G/1のp(k)の確率母関数(1)」の式(5)
- ・・・・(5)
に式(18)を代入すると
よって
- ・・・・(19)
となります。ところでのラプラス変換をで表すと
- ・・・・(20)
ですから、式(19)は
- ・・・・(21)
と書けます。このように「M/G/1のp(k)の確率母関数(1)」とは別の方法での確率母関数を求めることが出来ました。
この式(21)と「M/G/1のp(k)の確率母関数(1)」の式(16)
- ・・・・(16)
を組み合わせると何が分かるでしょうか?
さて、はの確率密度関数でした。一方、式(16)のは処理時間の確率密度関数のラプラス変換でした。そこで、の確率密度関数をで表せば、
- ・・・・(22)
となります。すると
- ・・・・(23)
ここで
- ・・・・(24)
と置いて、の代わりにで積分することにすれば、との積分の積分区間はともにからになるので
よって
- ・・・・(25)
ここでのラプラス変換をそれぞれで表すことにし、のラプラス変換はであることに注意すれば式(25)は
- ・・・・(26)
となります。式(26)と式(21)から
- ・・・・(26)
となります。式(16)と式(26)から
よって
- ・・・・(27)
ここで
と置けば
なので式(27)は
よって
- ・・・・(28)
となります。この式によって待ち時間の分布が処理時間の分布から求めることが出来そうです。
本エントリーを作成するに際して、滝根哲哉教授の「確率離散事象論講義資料」
http://www-optima.amp.i.kyoto-u.ac.jp/~takine/tmp/shiryou.pdf
を参考に致しました。感謝致します。