確率密度関数のラプラス変換

確率密度関数ラプラス変換するといろいろ便利なことがあります。以下の説明で確率変数X確率密度関数f(x)とし、Xは負の値を取らないとします。つまりx<0の時f(x)=0。次にf(x)ラプラス変換F^*(s)で表します。つまり

  • F^*(s)=\Bigint_0^{\infty}f(x)\exp(-sx)dx・・・・(1)

です。また、F^*(s)sについてn微分した関数をF^{*(n)}(s)で表すことにします。つまり

  • F^{*(n)}(s)=\frac{dF^*(s)}{d^ns}・・・・(2)

です。

n乗平均

確率変数Xn乗したものの平均E(X^n)は、以下のようになります。

  • E(X^n)=(-1)^nF^{*(n)}(0)・・・・(3)

これを証明します。式(1)の両辺をs微分すると

  • F^{*(0)}(s)=(-1)\Bigint_0^{\infty}xf(x)\exp(-sx)dx

になります。同様に考えて式(1)の両辺をns微分すると

  • F^{*(n)}(s)=(-1)^n\Bigsum_0^{\infty}x^nf(x)\exp(-sx)dx・・・・(4)

となります。式4)でs=0とすると

  • F^{*(n)}(0)=(-1)^n\Bigint_0^{\infty}x^nf(x)dx=(-1)^nE(X^n)

となり、式(3)が証明されます。

2つの確率変数の和

もう一つ別の確率変数Yを考え、その確率密度関数g(x)とします。x<0g(x)=0とします。また、g(x)ラプラス変換G^*(s)で表します。Z=X+Yという確率変数を考え、その確率密度関数h(x)とします。そしてh(x)ラプラス変換H^*(s)とします。すると

  • H^*(s)=F^*(s)G^*(s)・・・・(5)

となります。
では、これを証明します。まずZ=X+Yですから

  • h(x)=\Bigint_0^xf(y)g(x-y)dy・・・・(6)

となります。よって

  • H^*(s)=\Bigint_0^{\infty}h(x)\exp(-sx)dx=\Bigint_0^{\infty}\Bigint_0^xf(y)g(x-y)\exp(-sx)dydx

よって

  • H^*(s)=\Bigint_0^{\infty}\Bigint_0^xf(y)\exp(-sy)g(x-y)\exp(-s(x-y))dydx・・・・(7)

ここで

  • u=x-y・・・・(8)

と置き、積分の変数を(x,y)から(u,y)に置き換えます。すると

  • \left(\begin{array}u\\y\end{array}\right)=\left(\begin{array}1&-1\\0&1\end{array}\right)\left(\begin{array}x\\y\end{array}\right)

なのでヤコビアンJ

  • J=\left|\begin{array}1&-1\\0&1\end{array}\right|=1

なので

  • dxdy=dudy

になります。また、uyの変域は共に0から\inftyまでになります。よって式(7)は

  • H^*(s)=\Bigint_0^{\infty}\Bigint_0^{\infty}f(y)\exp(-sy)g(u)\exp(-su)dydu
  • H^*(s)=\Bigint_0^{\infty}f(y)\exp(-sy)dy\Bigint_0^{\infty}g(u)\exp(-su)du
  • H^*(s)=F^*(s)G^*(s)

よって式(5)が証明されました。

F^*(0)=1

確率密度関数ラプラス変換s=0を代入すると必ず1になります。これは

  • F^*(0)=\Bigint_0^{\infty}f(x)\exp(-0x)dx=\Bigint_0^{\infty}f(x)dx=1

となり

  • F^*(0)=1・・・・(9)

となります。