重力とは何か

著者の大栗氏はブログも書かれていて、私も読んでいます。(大栗博司のブログ 今、気がついたけれど、URLにplankが入っている(^^)。)
この本は重力の話だけかと思ったら素粒子論にがっつり入っていました。著者は今、注目を浴びている超ひも理論、著者は超弦理論と呼んでおられますが、それの研究者です。この本はそれだけでなく現代物理の基礎である相対性理論量子力学の手際よい説明もしっかりあります。

説明しています。まさに現代の物理学のフルコースを頂いた・・・・いや、詳細はやはり分からないですから、フルコースのカタログを眺めることが出来た、というのがより正確な言い方ですね。カタログですが、その味わいの説明もなかなかよくて、おいしさを想像出来ました。それでいて数式はまったく登場しません。

特に一般相対性理論をこんなに分かりやすく説明した本を私は見たことがありません。それに量子力学と(特殊)相対性理論とを組み合わせた時にどうして困難が生じるのかについての説明もまあまあ分かりやすかったです。

ただ、残念なことに、この本の一番の核心である第6章、第7章に進むと、著者の説明が非常に工夫されているのは分かるのですが、書かれている内容を頭で想像する事が出来ません。特に重力ホログラフィー原理は分かりません。何か途方もないことらしいのですが・・・・。これは私の力不足でしょう。

私が持った疑問は、以下のようなものです。

  • 物質の究極が弦であるとすると、それは何が「振動している」のか? それは空間なのか? それはひょっとすると、たたみこまれているという6次元の空間なのか?
  • 一般相対性理論では重力が空間の幾何学に還元されたわけだが、超弦理論がそれを10次元の世界で踏襲しているとすると、やはり4つの力は幾何学に還元されるのか? その場合、重力が局所的には消すことが出来たようにあとの力(電磁力、強い相互作用弱い相互作用)も局所的に消すことが出来るのか?
  • 最初の質問に関連するが、拡がった空間(時空)と、1次元の弦の関係が分からない。

とはいえ、この本はなかなかよい本です。人にもお勧めしたい本です。