線文字A(Linear A)(3)

その都市が栄えるために

ゴードン教授の、線文字Aが表している言語が北西セム語である、という説に対しては、線文字Aに現れるセム語と思われる単語が借用語ではないか、という反論があるとのことだ。そこで「古代文字の謎」C. H. ゴードン著

に、単語ではなく文章を解読した例が載っていないか探してみた。そうしたらたった一例だけ文章が載っていた。それが

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という文章だった。この文章として読める部分は線文字Aの原文ではki te-te-bi ki-re-ya-tuとなっていた、ということた。上記の本でゴードン教授は

こうして、ついに一つの前置詞、(目的節を導入する)接続詞、一つの動詞、および一つの名詞(女性形、主格に対する適切なセム語接尾辞を伴った)を含む、一つの碑文全体(その保存されている部分に関する限り)を事実上、解読することができたのである。その上、この前置詞と名詞によって、ミノア語がウガリト語、フェニキア語、ヘブル語等に近い西セム語であることが明らかになった。

と書き、自説を強調している。ところが、この本が発行されたのが1968年。それから45年も経過しているのにこの説が世に容れられないのは、やはり、どこかに欠陥があるのだろう。しかし専門知識のない私には何が欠陥なのか分からない。ただ、解読されたという文章は、なかなかいい文章だと思う。

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線文字A日本語説

私は言語学に関してシロウトで根拠のありそうなことは何も言えないのだが、どうしても言いたくなるので、書いておく。自分で線文字Aが日本語を表している、とは本気で思っているわけではないのだが、日本語を思わせるところがある。
線文字Aをアルファベットで置き換えた例が上に少し登場している。この例から分かるように線文字Aの1文字が、1つの子音+1つの母音、の組合せを表している。これは日本語の、かな、とまったく同じだ。さらに、この文字体系ではLとRの発音が区別されていなかったそうだ。LとRの発音が区別されないといえば、我々の日本語がそうではないか! というわけで、私は線文字Aに日本語の匂いを感じてしまう。(正確にはこれらの特徴は線文字Bの特徴であって、線文字Aは文字の発音も分かっていないのだから、今、書いたことは推測にしか過ぎない。線文字Aと線文字Bで類似する形が同じ音を表すと仮定してこのようなことを書いた。)