薔薇十字団(つづき)

これは30日の「薔薇十字団」のつづきです。

薔薇十字団 (文庫クセジュ)

薔薇十字団 (文庫クセジュ)

この本にはフランセス・イエイツの説の簡潔な紹介が載っています。

1972年ロンドンで出版の優れた歴史研究の書(フランセス・イエイツ「薔薇十字の啓蒙」(邦訳題は「薔薇十字の覚醒」))は、ドイツの薔薇十字団はイギリスに起源をもつという仮説を提示した。薔薇十字の象徴自体が有名なガーター騎士団に由来するにちがいないという。(中略)さらには、「神聖文字の単子(モナド)」の著者であるイギリスのジョン・ディーは、1583年の皇帝ルドルフ2世のもとでの工作任務が不首尾に終わったあと、カルヴァン派のアンハルト候クリスチャンと接触したらしい。後者は1619年にプファルツ選帝侯フリードリヒ5世を唆して、ボヘミア国がハプスブルク家に対する反抗として提供したボヘミア王位を(CUSCUS注:ハプスブルク家プロテスタントへの弾圧に対抗してボヘミアプロテスタント貴族たちは、プロテスタントのリーダでもあったプファルツ選帝侯ボヘミア王位を提供した)受諾するように仕向けることになる。(中略)1620年に白山でカトリックの皇帝軍が勝利したため、このきわめて短命な治世は突如終焉をつげた。英国の歴史家イエイツ女史の立てた説によると、薔薇十字思想はジョン・ディーに由来し、薔薇十字文書の出版は1614年から1619年にかけてプファルツ選帝侯の周辺で展開していた運動にその起源があるという。それゆえイギリス思想の浸透した薔薇十字宣言は、魔術的、ヘルメス主義的、カバラ的性格をもった大改革計画の神秘的<バックグラウンド>となっているらしい。

ここまでイエイツにこだわるのならば、この本の画像を出しておかないといけないでしょう。

薔薇十字の覚醒―隠されたヨーロッパ精神史

薔薇十字の覚醒―隠されたヨーロッパ精神史