ロットサイズとキュー時間の関係(セットアップを考慮した場合)

  • まずロットサイズと装置の利用率uの関係ですが、これは、
    • u={u_0}\left(1+\frac{t_s}{{N_s}{k}{t_{0W}}}\right)
      • ただし、
      • u_0:セットアップ時間がゼロの時の利用率
      • t_s:平均セットアップ時間
      • N_s:セットアップから次のセットアップまでの平均ロット数
      • k:ロットサイズ
      • t_{0W};ウェハ1枚あたりのタクト時間
  • という結果になりました。
  • ロットサイズkとキュー時間CT_qの関係を求めるために、これらをWhittの近似式
    • CT_q=\left(\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}t_e
  • に代入したいのですが、煩雑になります。ここでは
    • CT_q=\left(\frac{c_a^2t_e+c_e^2t_e}{2}\right)\frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • と変形して考えます。すると、ロットサイズk縮小におけるキュー時間CT_qの増減を調査するには、
    • c_a^2t_e
    • c_e^2t_e
    • \frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • の増減をそれぞれ調べればよいことが分かります。まずc_a^2t_e
    • c_a^2t_e=t_e=kt_{0W}+\frac{t_s}{N_s}
  • なので、この項はロットサイズkが小さくなると小さくなります。次にc_e^2t_e
    • c_e^2t_e=\frac{k{\sigma}_{w0}^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}}{\left(k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}\right)^2}\left(k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}\right)=\frac{k{\sigma}_{w0}^2+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s}+\frac{N_s-1}{N_s^2}{t_s^2}}{k{t_0}+\frac{t_s}{N_s}}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+\frac{{\sigma}_s^2}{N_s{\sigma}_{w0}^2}+\frac{N_s-1}{N_s^2{\sigma}_{w0}^2}{t_s^2}}{k+\frac{t_s}{N_st_0}}
  • となります。式が複雑になってきましたので
    • a=\frac{{\sigma}_s^2}{N_s{\sigma}_{w0}^2}+\frac{N_s-1}{N_s^2{\sigma}_{w0}^2
    • b=\frac{t_s}{N_st_0}
  • と置くと
    • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+a}{k+b}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\frac{k+b-b+a}{k+b}=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\left(1+\frac{a-b}{k+b}\right)
  • ここから、
    • a>bならばk減少でc_e^2t_eは単調増加
    • [tex:a
  • であることが分かります。さらに、
    • k=0
      • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}\left(\frac{a}{b}\right)
    • k\rightar\infty
      • c_e^2t_e=\frac{{\sigma}_{w0}^2}{t_0}
  • ですのでc_e^2t_e{\sigma}_{w0}^2a/t_0b{\sigma}_{w0}^2/t_0の間で変化することがわかります。
  • 最後に
    • \frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • は、
    • u={u_0}\left(1+\frac{t_s}{{N_s}{k}{t_{0W}}}\right)
  • ですので、ロットサイズkが小さくなるとuは大きくなります。uが大きくなり1に近づくと
    • \frac{u^{sqrt{2(m+1)}-1}}{m(1-u)}
  • は急速に増加します。
  • 以上のことから、ロットサイズkの縮小に伴い、キュー時間CT_qは最初は小さくなるが、uが1に近づくにつれて急速に増加する、と推定されます。

議論の継続

ここでの議論は

に続きます。