M/M/2→M/1待ち行列の解析(補足)

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M/M/2→M/1待ち行列の解析」の式(6)(7)から式(8)を導くところを省略せずに示したいと思います。式(6)(7)を再掲します。

  • p(1,m)=p(0,m)2u_1・・・・・・(6)
  • k{\ge}1の時、p(k+1,m)=p(k,m)u_1・・・・・・(7)

これは「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」における式(8)(9)に対応するものです。これらも再掲します。(ここでは、式の番号が重ならないように「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」における式の番号はダッシュをつけて表すことにします。)

  • [tex:0{\le}i
    • p_{i+1}=\frac{mu}{i+1}p_i・・・・・・(8’)
  • i{\le}mの場合
    • p_{i+1}=up_i・・・・・・(9’)

この式(8’)と式(9’)から

  • [tex:0{\le}k
    • p_k=\frac{(mu)^k}{k!}p_0・・・・・・(10’)
  • k{\ge}mの場合
  • p_k=\frac{(mu)^m}{m!}u^{k-m}p_0・・・・・・(12’)

が導かれたのでした。さらにp_0の値を求めるために、全確率の公式

  • \Bigsum_{k=0}^{\infty}p_k=1・・・・・・(13’)

を用いて

  • p_0=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{m-1}\frac{(mu)^k}{k!}+\frac{(mu)^m}{m!(1-u)}}・・・・・・(14’)

を導き出したのでした。「M/M/2→M/1待ち行列」の場合に戻って考えると上記の式(10’)(12’)に対応する式

  • 0{\le}k<2の場合、すなわちi=1の場合
    • p(1,m)=p(k,m)=\frac{(2u_1)^k}{k!}p(0,m)=2u_1p(0,m)・・・・・・(19)
  • k{\ge}2の場合
    • p(k,m)=\frac{(2u)^2}{2!}u^{k-2}p(0,m)=2u^kp(0,m)・・・・・・(20)

を作ることは出来ますが、式(13’)に対応する

  • \Bigsum_{k=0}^{\infty}p(k,m)=1

は成り立ちません。そこで以下のように考え直します。


式(10’)(12’)でm=2とします。すると

  • k=1の場合
    • p_k=\frac{(2u)^k}{k!}p_0=\frac{2u}{1!}p_0=2up_0・・・・・・(21)
  • k{\ge}2の場合
    • p_k=\frac{(2u)^2}{2!}u^{k-m}p_0=\frac{4u)^2}{2}u^{k-2}p_0=2u^kp_0・・・・・・(22)

ここで、利用率uに等しいM/M/2待ち行列における状態kの発生確率をp\left{M/M/2,u\right}(k)で表せば、式(21)(22)は

  • k=1の場合
    • p\left{M/M/2,u\right}(k)=2up_0・・・・・・(23)
  • k{\ge}2の場合
    • p\left{M/M/2,u\right}(k)=2u^kp_0・・・・・・(24)

ここでuu_1で置き換えれば

  • k=1の場合
    • p\left{M/M/2,u_1\right}(k)=2u_1p_0・・・・・・(25)
  • k{\ge}2の場合
    • p\left{M/M/2,u_1\right}(k)=2u_1^kp_0・・・・・・(26)

式(19)(20)と式(25)(26)を比較すれば

  • k=1の場合
    • p(k,m)=p\left{M/M/2,u_1\right}(k)\frac{1}{p_0}p(0,m)
  • k{\ge}2の場合
    • p(k,m)=p\left{M/M/2,u_1\right}(k)\frac{1}{p_0}p(0,m)

よって、いずれの場合も

  • p(k,m)=p\left{M/M/2,u_1\right}(k)\frac{1}{p_0}p(0,m)・・・・・・(27)

となります。ここで

  • \frac{1}{p_0}=c_1

とおけば式(27)は

  • p(k,m)=c_1p\left{M/M/2,u_1\right}(k)p(0,m)・・・・・・(8)

となって式(8)を導き出すことが出来ます。