つなぎの式の導出(6)

つなぎの式の導出(5)」「2次のアーラン分布の系列の重ね合せ系列の2乗変動係数(3)」の続きです。


2次のアーラン分布の系列の重ね合せ系列の2乗変動係数(1)」「(2)」「(3)」のように計算すれば、2次のアーラン分布m個重ね合わせた系列のイベントの間隔の2乗変動係数を求めることが出来ます。しかし「(2)」「(3)」で見てきたようにmの数が増えるにつれて計算量が増えていきます。


m=10まで計算した結果を以下にしめします。計算の途中の過程は省略します。

  • 表1

これを式(33)

  • c_e(m)^2=1+m^x(c_e^2-1)・・・・・(33)

x=-0.5と置いた近似式

  • c_e(m)^2{\approx}1+\frac{1}{sqrt{m}}(c_e^2-1)・・・・・(18)

で計算した結果と比較してみるとかなりよく合っていることが分かります。

  • 表2

これをグラフに表すと以下のようになります。

  • 図9

ここから、式(33)でx=-0.5とするとよい近似になることが分かります。


c_e^2=0(等間隔)の時はまあまあの近似でした。c_e^2=0.5の時はよい近似でした。ここから、一般のc_e^2の値の場合に、式(18)がほどほどの近似になることが分かりました。これで「つなぎの式の導出(3)」で提示した2つの仮定

  • A.u=1の時、GI/G/mからの出発過程の変動係数c_e(m)は以下の式で近似される。
    • c_e(m)^2{\approx}1+\frac{1}{sqrt{m}}(c_e^2-1)・・・・・(18)
    • 式(18)でm=1とすると
      • c_e(1)^2{\approx}c_e^2
    • となることに注意。
  • B.GI/G/mにおけるc_d^2の近似式は(1)と同じ形の式になる。ただし(1)におけるc_e^2c_e(m)^2におきかえる。つまり
    • c_d^2{\approx}u^2c_e(m)^2+(1-u^2)c_a^2・・・・・(19)

のうちの仮定Aについて正当化することが出来ました。ただしこの仮定Aは仮定C

の上に成り立っていることは注意すべきでしょう。この仮定は、c_e^2=0の時の結果から判断するところでは、成り立っていないのですが(成り立っていれば式(33)の形になるはずだが、実際にはそうはなっていない)、そう仮定しても実際とそれほど違わない値を導くことが出来たことから考えて、ある程度の正当性はあったと判断します。


次に仮定Bの正当性について検討してみます。