逆瀬川氏の近似式の論文の和訳(3)
「逆瀬川氏の近似式の論文の和訳(2)」の続きです。
3. 数値例
前のセクションで提案した我々の公式の優位性を示すために、このセクションで若干の数値例を与える。
待ち行列、つまり、到着間隔時間分布関数がPerasonタイプIII分布関数(アーラン分布関数の一般化)であり、そこでは分布関数の変動係数の2乗はであるが、そしてサービス時間分布関数が次のアーラン分布関数であり、1個のサービス機構がある場合について、平均待ち時間が数値的に見積られ、さまざまなとの値についてのその表が示される(Page*1参照)。平均待ち行列長はをかけることでこの表から得ることが出来る。さて我々はこの正確な値と(2.4)から導かれた近似値を比較する。表3.1はこの比較を(2.1)による近似値と一緒に示す。この表に従えば、近似公式(2.4)は常に公式(2.1)より大きな値を与える。これは公式(2.4)が(2.1)でをそれより大きいで置き換えることによって得られたからである。その差がそれほど大きくなく、数表を見ることなしに容易に平均待ち行列長を計算出来ることを考えて、我々の新しい公式(2.4)は全と有望であると我々は結論する。個々の欄の3つの数字は、真の値と上の(2.4)による近似値と(2.1)による近似値を示す。
待ち行列システムについては、最初に表3.2でとを示す。ほとんど全てのの値についてはより小さく、そのことによって我々の公式(2.7)はを真の値より若干大きく見積もるが、見積り値との差は非常に小さい。表3.3ではさまざまなとの値についてとが計算され、との差は図3.1に示されている。この図によれば、近似は驚くほどよい。
表3.2 と
表3.3 待ち行列のと図3.1 におけるとの差
、、待ち行列について、我々は平均待ち行列長を平衡方程式法を用いて数値的に計算することが出来る。実用のために、我々はについてのとのみを計算し、これらの値は一緒に表3.4に記入された。この表によれば我々が推測した公式(2.10)は悪くなく実用的には役立つ。
表3.4 の時の待ち行列のと
値は3つ全てのシステムで共通である。
最後に待ち行列システムに関しては、さまざまなとについて平均待ち行列長が数値的に計算され、とが図3.2に示された。これらの数字から上記と同じ結論を推論出来るだろう。
図3.2 についてのとの差
謝辞
有益な議論をした山崎氏に謝意を表します。参考文献
[1] Kingman, J.F.C. (1962). 「重負荷の待ち行列」 J. R. Statist. Soc., B 24, 383-392.
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[4] Mori, M. (1975). 「待ち行列のいくつかの境界」 J. Operat. Res. Soc. Japan, 18, 152-181.
[5] Page, E. (1972). 「ORにおける待ち行列理論」 Butterworths.
*1:Page, E. (1972). Queueing Theory in OR, Butterworths.