14.4.2.ADEPT(2):Quantitative System Performance

14.4.2.ADEPT(1)」の続きです。( 目次はこちら

 ADEPTは提案するCAD/CAMシステムのデータベース・コンポーネントの性能を予測するために使用された。主要機能モジュールの高レベル記述を含む予備的な設計仕様のみが利用可能であった。そのスタディからの小さな例が検討されるだろう。1つのトランザクションは与えられた必要条件を満足するレコード・オカレンスのリストを築き、最初の必要条件を満たしたオカレンスを端末のユーザに返す。それはレコード・オカレンスに資格を与えるためにFIND FIRSTコマンドを、発生を返すためにNEXTコマンドを発行する。FINDコマンドの実行グラフは図14.3に示す構造を持つ。


 このトランザクション処理の性能の目標は、コンピューティング環境がNOS OSを走らせているCyber 170であった時の、平均応答時間5秒以下であった。性能ウォークスルーは技術のユーザから典型的な使用法と、ソフトウェア設計者からFINDコマンドの処理ステップの記述を生み出した。トランザクションコンポーネントのリソース見積りはウォークスルー情報に基づいていた。多くの楽観的な仮定がなされたが、ベストケースの応答時間は6.1秒であると予測され、目標を満たさなかった(図14.3参照)。この経過時間の約43%(2.6秒)が実際のCPU要求時間であった。よって、応答時間は過剰なCPU要求時間のために受け入れられないほど長いことが設計段階で明らかになった。
 このアプリケーション・システムは実装された。実行システムでは実際のパラメータ値は設計時と異なっていたが、CPUボトルネックは、それが予測された1年以上のちに、やはり存在した。これはADEPT方法の成功を示している。(ADEPTを使った性能解析によって提供された特定の修正案は、システムの供給スケジュールの遅延を引き起こすために、実行されなかった。しかし、発生した性能問題はとにかく遅れと不満をもたらした。)
 コードが書かれる前に、設計段階の早期に適切な精度で、大規模なソフトウェア・システムのリソース利用パターンとシステム性能を予測することが可能であることをこのスタディは示している。それほどの人件費を負うことなしにこれらのメリットを達成することも可能である。この例は性能解析者の時間の半分を充てられたプロジェクトの一部であり、それは約1人月の作業時間がかかった。