リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(7)

リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(6)」の続きです。
次に考えたのは、M/D/2に限定して、しかも2台の装置ともに連続して処理中であって、さらに、この2台の装置の処理開始時刻がちょうどt_e/2だけズレている状況です。つまりガントチャートで書くと下のようになる状況です。

そしてこの2台の装置の前にはジョブが行列を作って待っています。


この状況ではt_e/2毎にジョブが処理完了し、待っているジョブがt_e/2に1個ずつ処理開始されるので、処理時間t_e/2を持つ1台の装置による待ち行列と振舞いが同じであると考えることが出来そうです。2台の装置の振舞いを1台の装置で代用させる様子を下の図に示します。

そうすると、下の図のような待ち行列が出来ます。


このように考えたら、平均待ち時間はどのようになるでしょうか? 装置の処理時間t_eのM/D/2の待ち行列が、装置の処理時間t_e/2のM/D/1の待ち行列と等価であるとみなしたので、平均待ち時間CT_{q(M/D/2)}

  • CT_{q(M/D/2)}=\frac{1}{2}\frac{u}{1-u}{\times}\frac{t_e}{2}・・・・(1)

となります。これは、またしても私が以前に導き出した近似式になってしまいます(「リー・ロントンの近似式を根拠づける試み(2)」の式(8)参照)。しかし、この近似式は精度がリー・ロントンの近似式より悪かったのでした。どこに考え落としがあったのでしょう?


気になるのは装置の利用率です。M/D/1の場合はuの確率で装置は処理中になり、あとから来たジョブは待たなければならなくなりますが、M/D/2の場合はあとから来たジョブが待たなければならなくなる状況、すなわち装置が2台とも空いていない状況はuの確率よりも低いはずです。このことを考慮する必要があります。