GI/G/s待ち行列の定常状態分布を求めて(2)

GI/G/s待ち行列の定常状態分布を求めて(1)」の続きです。
さらに、「M/G/s待ち行列の定常状態分布の近似(2)」や「GI/M/s待ち行列の到着時刻状態分布に向けて(2)」で示唆されていたようにbが装置台数sに依存しない、と仮定しましょう。もしこの仮定が成り立つのであれば、s=1の時のbの値を求めれば、それがGI/G/sの場合のbの値になります。さて、s=1の時には式(13)

  • CT_q{\approx}\frac{b}{su(1-b)}\Omega_{GI/G/s}t_e・・・・(13)

は、s=1\Omega_{GI/G/s}=uになることに注意すれば、

  • CT_q{\approx}\frac{b}{1-b}t_e・・・・(14)

になります。一方GI/G/1において、Kingmanの近似式によって

  • CT_q{\approx}\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u}{1-u}・・・・(15)

でした。よって

  • \frac{b}{1-b}=\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u}{1-u}・・・・(16)

よって

  • \frac{1-b}{b}=\frac{2(1-u)}{(c_a^2+c_e^2)u}
  • \frac{1}{b}-1=\frac{2(1-u)}{(c_a^2+c_e^2)u}
  • \frac{1}{b}=\frac{2(1-u)}{(c_a^2+c_e^2)u}+1=\frac{2(1-u)+(c_a^2+c_e^2)u}{(c_a^2+c_e^2)u}
    • =\frac{2-(2-c_a^2-c_e^2)u}{(c_a^2+c_e^2)u}
  • b=\frac{(c_a^2+c_e^2)u}{2-(2-c_a^2-c_e^2)u}・・・・(17)

これでbを求めることが出来ました。このエントリの最初に行った仮定により、式(17)で計算されたbの値がそのままGI/G/sにおけるbの値になります。


これでbの値を求める課題はクリアしました。残るは\Omega_{GI/G/s}の値を求める課題です。試しに式(13)に式(16)を代入してみましょう。すると

  • CT_q{\approx}\frac{1}{su}\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{u}{1-u}\Omega_{GI/G/s}t_e

よって

  • CT_q{\approx}\frac{c_a^2+c_e^2}{2}\frac{\Omega_{GI/G/s}}{s(1-u)}t_e・・・・(18)


・・・・・・さて、ここから先が詰まってしまいました。もし

  • \Omega_{GI/G/s}{\approx}\Pi_{M/M/s}・・・・(19)

を言うことが出来ればCT_qの近似式を得ることが出来るのですが、式(19)が言えるのかどうか、今の私には分かりません。