ロットサイズ縮小によるサイクルタイム短縮の可能性について

ロットサイズ」から始めたロットサイズとサイクルタイムの関係は、「ステーション・サイクルタイムの構成要素」の議論で、各ステーションサイクルタイムを以下のように5つの要素に分解しました。

  • サイクルタイム=搬送時間+キュー時間+セットアップ時間+タクト時間+オーバーラップ処理時間

そして、上記の個々の要素がサイクルタイムとどのように関係があるのかを調べました。それらの結論をここに再度記述します。

搬送時間

ロットサイズと搬送時間の関係」での結論は

  • 搬送時間はロットサイズを縮小すると非線形的に急激に増加する

でした。

キュー時間

キュー時間とロットサイズとの関係の調査はかなり大変でしたが、「ロットサイズとキュー時間の関係(一応の結論)」に結論を書きました。結論は、

  • 1.セットアップ時間を無視出来るのであれば、ロットサイズを小さくすることにより、キュー時間を小さくすることが出来る。
  • 2.セットアップ時間を無視出来ないのであれば、ロットサイズを小さくすることにより、キュー時間を小さくすることが出来る場合もあるが、セットアップ回数の増加が利用率を1に近づけることにより、逆にキュー時間が大きくなる場合もある。

セットアップ時間

ロットサイズとセットアップ時間の関係」での結論は

  • セットアップ時間はロットサイズに無関係

でした。

タクト時間

ロットサイズとタクト時間、オーバーラップ処理時間の関係」で

  • タクト時間はロットサイズに比例する。よってロットサイズを小さくするとタクト時間は比例して小さくなる。

と結論しました。

オーバーラップ時間

ロットサイズとタクト時間、オーバーラップ処理時間の関係」で

  • オーバーラップ処理時間はロットサイズに依存しない

と結論しました。

以上のまとめ

以上のことから、ロットサイズを縮小するとそれに伴い縮小する要素

  • タクト時間、キュー時間(セットアップ時間が無視出来る場合)

と、それに伴い増加する要素

  • 搬送時間、キュー時間(セットアップ時間が無視出来ない場合)

と、変わらない要素

  • セットアップ時間、オーバーラップ時間

があることが明らかになりました。さらに、ロットサイズの縮小と共に減少する要素は線形的に減少するが、ロットサイズの縮小と共に増加する要素は非線形的に増加するので(増加、減少の様子については、上記にリンクを示したそれぞれのエントリーを参照下さい。)どこかにサイクルタイムを最小にするロットサイズが存在することが分かります。これを最小CTロットサイズ(CTはサイクルタイムの略)と呼ぶことにすると、最小CTロットサイズはステーション毎に異なることも分かります。
そこで、このようなことが考えられます。

  • ロットサイズをステーション毎にダイナミックに変更することは出来ないだろうか?

ということです。これについては、今後、検討が必要な話題がいっぱいあると予想しています。
ひとまず、ここでロットサイズの議論を終わります。