搬送車の速度を速くすると生産量が増えるか?

ある人から、
「ある人が『搬送車の速度を上げれば(半導体)工場の生産量がそれに比例して増えるのだ。』と言っているのだが、それに有効に反論するにはどうしたらよい?」
と尋ねられました。その時、私はいろいろ複雑な話をしてしまったのですが、かえって分からなくしてしまったようです。あとで、その時どう言えばよかったのだろうと考えをめぐらしました。今日、お話しするのは、その反省の結果です。こう言えばよかった、と思いました。

  • 工場の生産量(=スループット)を決定するのはボトルネックである。
  • 従って、搬送車がその工場のボトルネックになっているならば、搬送車の速度を上げることで工場の生産量が増加する。そうでなければ、搬送車の速度を上げても工場の生産量は増えない。

そこで、ちょっと考えたたとえが

  • わんこそばを喰っている人が遅ければ、いくらお椀を速く運んでも、わんこそばの消費量は増えない

です。かえって分かりにくくなってしまったでしょうか?

    • ただ、ちょっと複雑なのは、(話を半導体工場に限れば)ロードポートネックという現象があるということです。これは装置と搬送システムの相互作用によってボトルネックを形成する可能性のある現象です。装置と搬送システムをそれぞれ個別に見ていては、この現象は見えません。よって、工場のボトルネックが実はロードポートネックによって形成されているのであれば、搬送車の速度を上げることで工場の生産量が上がる、と言える可能性があります。
    • では、次に問題になるのは工場のボトルネックがどこであるかを見つける方法と、それがロードポートネックによるものかどうかを判定する方法は、何か? ということですね。
    • そのような仕組みを考えることは面白いかもしれません。