バーコフの個別エルゴード定理 記述3(その3)

バーコフの個別エルゴード定理 記述3(その2)」の続きです。
その次はこれです。

したがってf^*(x)がほとんど常にとる値は、
\Bigint_0^1f(x)dx
となる。

どうして「したがって」なのでしょう? 以下は私の推測です。


Tは保測変換なので

  • \Bigint_0^1f(Tx)dx=\Bigint_0^1f(x)dx

よって、任意の自然数nについて

  • \Bigint_0^1f(T^nx)dx=\Bigint_0^1f(x)dx・・・・・・(1)

ところで「バーコフの個別エルゴード定理 記述1」にあったように

  • f_N(x)=\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^Nf(T^nx)

であったので、この両辺をxに関して積分し、式(1)を用いると

  • \Bigint_0^1f_N(x)dx=\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^N\Bigint_0^1f(T^nx)dx=\frac{1}{N+1}\Bigsum_{n=0}^N\Bigint_0^1f(x)dx=\Bigint_0^1f(x)dx

ここでN\rightar\inftyとすると「バーコフの個別エルゴード定理 記述1」にあったようにf_N(x)\rightar{f^*(x)}になるので

  • \Bigint_0^1f^*(x)dx=\Bigint_0^1f(x)dx

ところがf^*(x)dxはほとんど常に(つまり測度1のxの集合について)一定なので

  • \Bigint_0^1f^*(x)dx=f^*(x)

よって

  • f^*(x)=\Bigint_0^1f(x)dx
  • おおっ、出来た! これで「時間平均=集合平均」になる。

いろいろ不完全なところがあると思いますが、このように理解しました。

  • ああ、おもしろかった。