min(X,Y)の確率密度関数

確率密度関数f(x)であるような確率変数Xと、確率密度関数g(x)であるような確率変数Yがあるとします。この時新しい確率変数Z

  • Z=\min(X,Y)・・・・・(1)

で定義します。これは確かに確率変数です。このZ確率密度関数h(x)f(x)g(x)とどのような関係にあるでしょうか?


Z分布関数H(x)を考えます。分布関数の定義からH(x)Z{\le}xである確率を表します。ということはXYの少なくとも1つが{\le}xであることを意味します。1-H(x)を考えると、これはZ>xである確率を表しています。これはつまり、X>xかつY>xである確率のことになります。ここでX分布関数F(x)Y分布関数G(x)とします。X>xである確率は

  • 1-F(x)

Y>xである確率は

  • 1-G(x)

なので

  • 1-H(x)=[1-F(x)][1-G(x)]

という関係が成り立ちます。よって

  • H(x)=1-[1-F(x)][1-G(x)]・・・・・(1)

よって

  • h(x)=\frac{dH}{dx}=\frac{dF}{dx}[1-G(x)]+[1-F(x)]\frac{dG}{dx}=f(x)[1-G(x)]+g(x)[1-F(x)]

よって

  • h(x)=f(x)[1-G(x)]+g(x)[1-F(x)]・・・・・(2)

となります。


たとえば、ある事象Aが発生するまでの時間と、別の事象Bが発生するまでの時間が、それぞれ同じ指数分布

  • f(t)=\lambda\exp(-\lambda{t})・・・・・(3)

に従っているとします。どちらか一方の事象が発生するまでの時間の分布h(t)は以下ののようにして求めることが出来ます。「分布関数」の式(6)から

  • F(t)=1-\exp(-\lambda{t})・・・・・(4)

この例では

  • f(t)=g(t)F(t)=G(t)

なので、(3)(4)を(2)に代入すると

  • h(t)=2\lambda\exp(-\lambda{t})\exp(-\lambda{t})=2\lambda\exp(-2\lambda{t})

となって、平均

  • \frac{1}{2\lambda}

の指数分布、つまり元の指数分布の平均の半分の平均を持つ指数分布、になることが分かります。