到着時刻状態分布

定常状態分布」では、任意のジョブ到着間隔分布と、任意の処理時間分布を持つ待ち行列について、この待ち行列のシステムにジョブがk個存在する、時間平均での確率p(k)の近似式を紹介しました。今度は、ジョブが到着した時に、この待ち行列システムにジョブがk個存在する(到着したジョブは数に含めない)確率\pi(k)を考えます。しかし残念ながら、任意のジョブ到着間隔分布と、任意の処理時間分布を持つ待ち行列について\pi(k)の近似式を求めることは出来ませんでした。そこで「ジョブ到着時に、全ての装置がふさがっている確率」と同じように到着間隔分布が指数分布である場合と、処理時間分布が指数分布である場合について近似式を示します。


もし到着間隔分布が指数分布であるならば、すなわちM/G/s待ち行列であれば、PASTAを使用することが出来て

  • \pi(k)=p(k)・・・・(32)

をいうことが出来ます。この式と「定常状態分布」の式(4)(5)

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(4)
  • k{\ge}sの場合
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(5)
  • ただし
    • p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(6)
    • b=\frac{(c_a^2+c_e^2[c_a^2(1-u)+u])u}{2-(2-c_a^2-c_e^2[c_a^2(1-u)+u])u}・・・・(7)

を用いれば

  • [tex:k
    • \pi(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(33)
  • k{\ge}sの場合
    • \pi(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(34)


もし処理時間分布が指数分布であるならば、すなわちGI/M/s待ち行列であれば、

  • k{\le}s-2の場合
    • \pi(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(35)
  • k=s-1の場合
    • \pi(s-1)\approx\frac{1-b}{u}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(36)
  • k{\ge}sの場合
    • \pi(k){\approx}\frac{b^{k+1-s}(1-b)}{u}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(37)

となります。