GI/G/sの待ち確率Πを求めて(2)

到着時刻状態分布」を見ながら、そして「GI/G/sの待ち確率Πを求めて」での失敗を何とか救えないかと考えていて、実はD/D/1の場合、b=0ではなかったのか、と思い始めました。b=0ならば「ジョブ到着時に、全ての装置がふさがっている確率」の式(26)

  • \Pi\approx\frac{b}{u}\cdot\frac{\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(26)

がD/D/1の時にも使用できるとしたら、期待通り

  • \Pi=0

となります。u=1の時に\Pi=1であるはずなのに式(26)からはそれが導出されないのではないか、という疑問は生れますが、u=1の時に本当に\Pi=1と考えてよいかは微妙なところです。というのは、u=1の場合、ジョブは到着した時点で同時に、1つ前のジョブが装置から出て行くので、ジョブが到着した時にシステム内の装置が全て(この場合は1台だけですが)ふさがってはいない、と言えないこともないからです。であれば式(26)は(近似的にでしかないのですが)正しくて、間違っていたのはbを求める式(27)

  • b=\frac{(2c_a^2+[1-c_a^2]u)u}{2-(2-\{2c_a^2+[1-c_a^2]u\})u}・・・・(27)

である、とも考えることが出来そうだからです。


では式(27)の代わりにどのような式を構成すればよいのでしょうか? まだ私には分かりません。その前に「到着時刻状態分布」の

  • k{\le}s-2の場合
    • \pi(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(35)
  • k=s-1の場合
    • \pi(s-1)\approx\frac{1-b}{u}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(36)
  • k{\ge}sの場合
    • \pi(k){\approx}\frac{b^{k+1-s}(1-b)}{u}\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(37)

がD/D/1の時、そしてb=0とした場合、どのようになるかを考えてみます。装置は1台だけなのでs=1になります。よって、式(35)(36)(37)は以下のようになります。

  • k=0の場合
    • \pi(0)\approx\frac{1-0}{u}\frac{u^1}{1!(1-u)}p(0)・・・・(38)
  • k{\ge}1の場合
    • \pi(k){\approx}\frac{0^k(1-0)}{u}\frac{u^1}{1!(1-u)}p(0)・・・・(39)

となります。ここで0^0=1と考えれば

  • k=0の場合
    • \pi(0)\approx\frac{1}{1-u}p(0)・・・・(40)
  • k{\ge}1の場合
    • \pi(k)\approx\frac{0}{1-u}p(0)・・・・(41)

さらにs=1の時、式(6)

    • p(0)=\frac{1}{\Bigsum_{k=0}^{s-1}\frac{(su)^k}{k!}+\frac{(su)^s}{s!(1-u)}}・・・・(6)

  • p(0)=\frac{1}{\frac{0^0}{0!}+\frac{u}{1-u}}=\frac{1-u}{1-u+u}=1-u

なので式(40)(41)は結局

  • k=0の場合
    • \pi(0)\approx{1}・・・・(42)
  • k{\ge}1の場合
    • \pi(k){\approx}0・・・・(43)

となり、D/D/1の\pi(k)の値として妥当な値を示しています。


さらに「定常状態分布」の式(4)(5)

  • [tex:k
    • p(k)\approx\frac{(su)^k}{k!}p(0)・・・・(4)
  • k{\ge}sの場合
    • p(k){\approx}b^{k-s}(1-b)\frac{(su)^s}{s!(1-u)}p(0)・・・・(5)

も、D/D/1では

  • k=0の場合
    • p(0)\approx\frac{u^0}{1!}p(0)=1-u
  • k{\ge}1の場合
    • p(k){\approx}0^{k-1}(1-0)\frac{u^1}{1!(1-u)}(1-u)=0^{k-1}u

つまり

  • k=0の場合
    • p(0)\approx{1}-u・・・・(44)
  • k{\ge}1の場合
    • p(k){\approx}{0}^{k-1}u・・・・(45)

となり、さらに式(45)はk=1の場合とk>1の場合に分けて考えれば

  • k=0の場合
    • p(0)\approx{1}-u・・・・(44)
  • k=1の場合
    • p(1){\approx}u・・・・(46)
  • k>1の場合
    • p(k){\approx}{0}・・・・(47)

となり、これもまたD/D/1のp(k)の値として妥当な値を示しています。