Whitt教授の「Approxomations for the GI/G/m queue」の翻訳(37)

原文は

から入手出来ます。


5.6. 有限バッファ
 有限バッファを持つ(そしてシステムがいっぱいであることを見た到着した客は、その後の到着に影響を与えることなく失われると定めた)システム内の個数の分布についての単純な近似を、セクション5.4でのNの近似分布から、条件付けによって、あるいは同じことであるが、切捨てと再正規化によって得る (Whitt 1984e)。N(\rho,c_a^2,c_s^2,m,K)K個の余分な待ちスペースのあるGI/G/m/Kモデルでの定常状態での任意の時刻でのシステム内個数を示すとする。すると提案する近似は、

  • P(N(\rho,c_a^2,c_s^2,m,K)=k)=\frac{P(N(\rho,c_a^2,c_s^2,m,\infty)=k)}{P(N(\rho, c_a^2,c_s^2,m,\infty){\le}K)}・・・・(5.24)

である。公式(5.24)はM/M/m/KモデルとM/G/m/0モデルでは正確であるが、ほかではそうではない。関連する研究についてはYaoとBuzacott (1985a, 1985b)とBergerとWhitt (1992)を参照のこと。



6. 結論
 私はGI/Gmモデルを記述する標準的な定常状態混雑尺度の大部分について近似式を開発した。セクション2.2に示したように、近似式の品質は全ての混雑尺度について同じというわけではない。(2.2)のビジー・サーバの数の期待値EBのような若干の混雑尺度は正確である。(2.2)のシステム内客数の期待値ENのようなその他の近似混雑尺度はきわめて正確である傾向がある。というのは主にその中の大きな要素が正確だからである。セクション2での期待待ち時間EWのようなさらに他の近似混雑尺度は、比較的堅牢であり幅広く研究されてきたのでかなり正確である。最後に、任意の時点で待ち行列が空である確率のような若干の近似混雑尺度はそれほど信頼性が高くない。というのはそれらはまだそれほど多く研究されておらず、また、それらの記述は失われた情報(最初の2つのモーメント以外の分布)に明らかにより決定的に依存しているからである。それにもかかわらず、待ち行列長確率関数のような、見たところあまり理論的基礎のない非常に詳細な近似は、セクション5.5で示したようにしばしばかなり正確である。
 GI/G/m待ち行列の大きなクラスについて正確な数値手続きが開発されてきたので、ここで開発された近似式は必ずしも必要ではない。それにもかかわらず、比較的簡明な公式群は、より大きなモデルの中のサブモデルとしてのGI/G/mモデルを理解し用いるのに役立つ。近似式を開発する手法もまた、正確な解析がまだ可能でないような関連する問題に役立つであろう。

私は特に以下の方々に謝意を表したい。私の同僚のA. T. Seeryは1982年〜1985年の間多くのケースについてQNAプログラムを走らせ、これらの近似式を開発し評価するのを助けてもらった。オランダのEnschedeのTwente UniversityのJ.H.A. de Smitは1982年にGI/H_2/mモデルについての彼のアルゴリズムに基づいた正確な値の広範囲な表を提供して下さった。アムステルダムのFree UniversityのH. TijmsとM. H. van Hoornは、Van HoornとSeelen (1984)が開発したQ-LIBプログラムによる別の正確な値を提供してくださった。最後に、Mark SpearmanにはこのジャーナルのためにWhitt (1985)の改訂版を出すことを私に示唆してくれたことに謝意を表したい。


(このあと、参考文献一覧がつづきますが、翻訳は省略します。)