待ち行列理論

GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(3)

「GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(2)」のつづきです。 この近似式 ・・・・(11) は、そこそこの精度があることが分かりましたが、を計算する必要があります。そしては「GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(1)」の式(3)(4)で示したように…

GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(2)

「GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(1)」のつづきです。 次にこの近似式 ・・・・(11) の精度をいくつかの場合について調べます。 M/M/sの場合 まず、今までのことから式(11)はM/M/s待ち行列で正確な値を示します。 M/G/1の場合 次…

GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式(1)

GI/G/s待ち行列の平均待ち行列長の近似式を求めます。 まず、「重負荷極限定理」から ・・・・(1) ここでは装置の稼働率、は平均待ち行列長、はジョブの到着間隔の変動係数、は処理時間の変動係数、です。ここからが1に近い場合の近似式として ・・・…

重負荷極限定理(2)

「重負荷極限定理(1)」のつづきです。 さて、ではどんどん長くなるのですが、ここで軸と軸を縮小することにより、このがブラウン運動に近くなっていきます。具体的には ・・・・(12) と置き ・・・・(13) と置きます。こうすると、今までが大きな値になら…

重負荷極限定理(1)

GI/G/s待ち行列で成り立つ重負荷極限定理を導出します。重負荷極限定理は次のような内容です。 ・・・・(1) ここでは装置の稼働率、は平均待ち行列長、はジョブの到着間隔の変動係数、は処理時間の変動係数、です。ところでGI/G/s待ち行列で成り…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(9)

参考文献 [1] Kuin PJ. 「待ち行列システムに関する表」 Stuttgart: Institute of Switching and Data Technics, University of Stuttgart; 1976. [2] Crommelin CD. 「保持時間が定数の時の待ち確率公式」 Post Offic Elect Eng J 1932;25:41-50. [3] Tijms…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(8)

3.2. 待ち時間確率 さて確率変数を番目に受け入れられた客の待ち行列での待ち時間として定義する。以前と同じようにである。有限キャパシティM/D/c/c+N待ち行列におけるの計算は、無限キャパシティM/D/c待ち行列におけるよりずっと複雑である。M/D/c待ち行列…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(7)

3.1. 状態確率 定常状態確率は0, 1,…, についてで示される。無限のキャパシティ()を持つ対応するM/D/c待ち行列における定常確率をと書くことは便利である。単一サーバの場合()についての正確な計算のための2つの方法がある。[5]のセクション9.8を参照。…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(6)

3. M/D/c/c+N待ち行列 M/D/c/c+N待ち行列は、M/D/c待ち行列に比べて、無限な待合室ではなくキャパシティの有限な待合室を持つ点だけで異なっている。個のサーバの全てがビジーであり、かつさらに個の待ち場所の全てが占有されているのを見出した到着客は拒絶…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(5)

2.3. 迅速な工学的近似 M/D/c待ち行列について正確な答を計算することは難しくないが、その計算は、指数分布サービスを持つ、対応するM/M/c待ち行列についての計算より面倒である。M/M/c待ち行列では、待ち確率や平均待ち行列長や待ち時間確率のような性能尺…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(4)

2.2. 待ち時間確率 番目に到着した客の待ち行列での待ち時間をで示し、定常待ち時間確率を、 で定義する。導入で指摘したように、Crommelinの先駆的な仕事においてについてのいくつかの明示的な式が得られている。しかし、これらの明示的な式のどれも計算の…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(3)

状態確率を計算するもう一つの方法は離散FFT法に基づいている。状態確率 の生成関数 は で与えられる。についての式が未知数,…, を含んでいるので、FFT法を直接適用することは出来ない。しかし、についての明示的な式をえるためにこれらの未知数を取り除くこ…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(2)

2. M/D/c待ち行列 M/D/cモデルで客の到着過程はレートのポアソン過程であり、客のサービス時間は定数であり個の同等のサーバが使用可能である。無限の待合室が存在する。客は到着の順番にサービスを受ける。サーバ稼働率は1より小さいと仮定する。 M/D/c待…

【論文翻訳】M/D/c待ち行列の新しい結果と古い結果(1)

A.J.E.M. JanssenとJ.S.H. van Leeuwaardenの論文「M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る」と同じようにM/D/sに関する論文であるHenk Tijmsの「New and old results for the M/D/c queue」を訳すことにします。 M/D/c待ち行列の新し…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(11)

参考文献 M. Abramowitz, I.A. Stegun.「数学関数のハンドブック」Dover, New York, 1970. I.J.B.F. Adan, J.S.H. van Leeuwaarden, E.M.N. Winands.「待ち行列理論におけるRoucheの定理の応用について」Operations Research Letters, 34:355-360, 2006. S. …

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(10)

A セクション4での結果の証明 A.1 (19)の証明 Janssen他(2007)、定理1では、 (30) が証明されている。ただしは(20)でのものと同じでありは, の解として非明示的に定義される。複雑なため(30)の導出を付録A.3で手短に繰り返している。Janssen他(2007)、補題…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(9)

確かにPollaczek 1931 式(45)はの時に成り立つ式 を与えている。についてのRiemannの関係と若干の書き換えは , (26) をもたらす。この形での結果はChangとReres 1997 Thm. 1.1のp.788によって導かれた。(26)の3番目の証明はJanssenとLeeuwaarden (2007b,a)…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(8)

途中でフランス語が出てくるので、その部分は訳せませんでした。 5 平方根配置 M/D/sの解法を探る過程で巻き込まれたかなり重い解析に気づいて、ErlangとCrommelinとPollaczekは各々若干の近似を開発した。結局、それは現実の電話交換のモデル化についてであ…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(7)

4 アーランD式の新しい式 さて、アーランD式の新しいいくつかの式を我々は与える。全ての証明は付録に任せる。 定理 4.1 (19) ただし , (20) であり である。 一見して、(19)と(7)は非常に難しそうにみえる。(7)のいくつかの基本的操作が、(19)と若干より…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(6)

3.1 分かりやすい例 二項分布の場合、ただし, , で[tex:A'(1)=nq2(\sqrt{2}-1)]を越えて増加すると、ゼロを含む滑らかなジョルダン曲線から2つの別々の閉曲線に変わり、(12)はもはや成立しない。 これが定理3.7の実例である。を調べると、図2でが0について…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(5)

でがゼロを持たなければならないと仮定すると、での個の根は 、 (13) を満足することが知られている。実現可能な全てのについて、式(13)は内の唯一の根を持つことを示すことが出来、初期値から始めて連続する代入 , 0, 1,…, (14) によって方程式を解こうとす…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(4)

正直なところ、ここからは私は理解出来ないのですが、まずは訳すだけ訳してみます。 3 待ち行列理論における根 生成関数の手法を適用する際に重要なことはある与えられた方程式の根の調査であり、通常これらの根は明示的な表現を持たない。Crommelin (1932)…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(3)

2 M/D/s待ち行列 M/D/s待ち行列を考察し、一定のサービス時間(我々はそれを1に設定した)に等しい間隔の最後で待ち行列で待っている(サービス中のものを除く)客の数をトレースする。客はレート のポアソン過程に従って到着し、最大で 個のサーバによって…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(2)

1 導入 ポアソン到着と、固定のサービス時間と 個のサーバを持つM/D/s待ち行列は、待ち行列理論に深く根ざした場所を持っている。それは全てA.K. Erlangの1917年の論文から始まった。そこで彼はM/M/s待ち行列(アーラン待ちモデル)とM/M/s/s待ち行列(アー…

【論文翻訳】M/D/s待ち行列の根とErlang、Crommelin、Pollaczekの業績に戻る(1)

読んで私が理解出来るかどうか分かりませんが、ちょっと興味をひいたのでこの論文を翻訳することにします。原文は以下から入手出来ます。 Back to the roots of the M/D/s queue and the works of Erlang Crommelin and PollaczekBack to the roots of the M…

M/G/∞について

「M/M/∞について(2)」のつづきです。M/G/∞でも「M/M/∞について(2)」の式(5) ・・・・(5) が成り立つことを示します。 M/G/∞待ち行列では、到着分布がポアソン分布なのでPASTAを使用することが出来ます。今、あるジョブが到着した時に…

M/M/∞について(2)

「M/M/∞について(1)」の続きです。 M/M/s待ち行列について[tex:k 状態である確率をで表すと、上の図から ・・・・(1) が成り立つことが分かります。式(1)を変形すると ・・・・(2) となります。式(2)からの場合 ・・・・(3) が成り立つことが分…

M/M/∞について(1)

「GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(4)」で さて、M/M/sの時、[tex:0{\le}k ・・・・(19) ただしは定数 の形をしている(「M/M/mにおける待ち時間の式の導出(2)」の式(10)参照)ことや、M/G/∞の時のがやはり式(19)の形をしてい…

GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(6)

「GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(5)」の続きです。 「GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(1)」で ここで、の時、 ・・・・(1) が近似的に成り立つと仮定します。この仮定の妥当性についてはのちに述べます。 と書きましたが、ここ…

GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(5)

「GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(4)」の続きです。 「GI/G/sのジョブ数の確率分布の近似式(4)」の式(20) ・・・・(20) を式(17) ・・・・(17) に代入すると となり、 ・・・・(21) となります。これを式(20)に代入すると ・・・・(2…