Factory Physics

第12章 総合品質生産 の概要

Factory Physicsの基本的な洞察は、変動は、製造システムのパフォーマンスを決定するのに重要な役割をはたす、というものである。変動はさまざまな発生源からやってくるが、特に重要な発生源は品質であり、それはシステムのパフォーマンスを根本的に変え得る…

第11章 オペレーション管理における人間的要素 の概要

人間は製造システムの重要な要素である。スケジューリングやキャパシティ計画や品質管理や装置メンテナンスのような非常に技術的なトピックでさえ、根本的な仕方で人を巻き込む。 Factory Physicsの根本の前提は、工場の振る舞いを支配する自然の法則あるい…

著者からメールが来たよ、その後。

「Factory Physicsの著者からメールが来たよ!」でFactory Physicsの著者のひとりであるDr. Mark Spearmanからメールが来たお話をしました。これはその後のお話です。著者からは「がんばったね、出版できるといいね。」という明るいメッセージだったのですが…

Factory Physicsの著者からメールが来たよ!

昨日、Factory Physics Factory Physics作者: W. Hopp,M. Spearman出版社/メーカー: McGraw Hill Higher Education発売日: 2000/08/01メディア: ハードカバー クリック: 64回この商品を含むブログ (12件) を見る の著者の一人であるDr. Mark Spearmanからメ…

第10章 プッシュ製造システムとプル製造システム の概要

「プル」という用語はしばしば「かんばん」の同義語のように使われている。しかし、「プル」と「かんばん」を同一視することはそのコンセプト(プル)をその実装(かんばん)と一緒にしてしまう危険性がある。プッシュ・システムとプル・システムの違いは、…

第8章 変動の基礎 の概要

変動は全ての製造システムに存在し、工場パフォーマンスに対して大きな影響を持つ。この章では、製造システムにおける変動を特徴づけるための基本的なツールと直感を開発する。直感は、我々の日々の生活の多くの局面で重要な役割をはたす。例えば、自動車の…

第6章 製造の科学 の概要

製造に関わる多くの人々が、MRP、MRP Ⅱ、ERP、JIT、CIM(Computer Aided Manufacturing)、FMS(Flexible Manufacturing System)、TQM(Total Quality Management)、BPR(Business Process reengineering)などの流行を見てきた。それら…

第5章 うまくいかなかったこと の概要

第二次世界大戦から1990年までに使用されたアメリカの生産管理手段は、大まかに3つの学派に分類することができる。 科学的管理は、製造システムの合理的、演繹的、量的、モデリング指向の見方を特徴とする。科学的管理運動は、在庫管理、スケジューリング、…

第4章 JIT革命 の概要

1970年代と1980年代に、アメリカのMRPとまったく異なるもの、すなわちJIT、が日本において始まっていた。日本のJIT実践に最も緊密に関連した技術は、トヨタかんばん方式である。MRPのようなプッシュ・システムでは、ワークのリリースはスケジュ…

第3章 MRP十字軍 の概要

1960年代の始めまでに、多くの企業は定型的な会計機能を遂行するためにデジタル・コンピュータを使いつつあった。スケジューリングと仕掛管理の複雑さと単調さを考慮すると、コンピュータをこれらの機能に同様に拡張しようとすることは自然であった。この領…

第2章 在庫制御:EOQからROPまで の概要

数学の工場管理への最も早い適用の一つはFord W. Harris (1913)の製造ロットサイズを決定するための最適発注量(EOQ)モデルの提唱であった。この章は最初にEOQモデルについて検討し、次に動的ロットサイズ決定のためのWagner-Whitin手続き、需要が確…

第1章 アメリカの製造業 の概要

1820年代までに、アメリカの繊維工業は、アメリカ製造業の特徴である垂直的統合が進んだ。これには2つの要因が考えられる。 アメリカは、イギリスと異なり、職業別ギルドの強い伝統を持っていなかった。その結果、製造工程の統合への動きを阻む組織された既…

「第19章 総合。全てをまとめる。」の英語に苦しむ。

「Factory Physics 第19章 総合。全てをまとめる。」を訳していたのは、ちょうど1年前のことですが、この中のの小説じたての部分を訳すのには苦労しました。会話が多く占めるので、英語が得意ではない私にはよく分からない言い回しが登場するのです。そう…

第19章 総合。全てをまとめる。 の概要

この章は、Factory Physicsの諸法則を組み合わせて問題を解決することを扱う。Factory Physicsの諸法則と諸公式は、なぜ、ある環境である方法がうまくいくのかについての直感を構築し、特定の諸方針を評価し比較することを助けることが出来る。しかし、それ…

第18章 キャパシティ管理 の概要

キャパシティ戦略、具体的には、新規生産ラインの設計や既存生産ラインの改造・編成変え、はコストに直接影響を与えるが、総体計画、スケジューリング、ショップフロア・コントロールといった他の計画と制御の問題に影響を与えることにより工場パフォーマン…

第17章 サプライチェーン・マネジメント の概要

この章はサプライチェーンについて概説する。 在庫を、原材料在庫、WIP、完成品在庫(FGI)、スペアパーツ、の4つに分類し、それぞれの在庫量削減方法について述べる。重要なことは、なぜ在庫が存在するのか理解することである。個々のタイプの在庫が…

第16章 総体と工数の計画 の概要

長期の範囲に渡って「何を」「いつ」を製造するかという重要な問題を扱うモジュールが総体計画モジュールである。(「総体」は「Aggregate」の訳語として用いた。「総体」は「製品ファミリー」よりも大きな製品のくくりを指している。)非常に多くの重要な決…

第15章 製造スケジューリング の概要

製造スケジューリングは困難な問題である。それはひとつには両立しない多くの目標(オンタイム配達と最小WIPとより短い顧客リードタイムと装置の最大利用率)を追求するためであり、もうひとつにはスケジューリングの背後にある数学が複雑なためである。 …

第14章 ショップ・フロア・コントロール の概要

この章では、 ショップ・フロア・コントロール・モジュールを設計する前に解かなければならない問題の概観 ショップ・フロア・コントロール・モジュールの基礎としてのCONWIPの検討 CONWIP方式の拡張 短期のノルマへの進捗を測定するための製造の追跡と長期…

第13章 プル計画の枠組み の概要

この章では、下はショップ・フロア・コントロールから上は需要予測までを含む生産の計画と管理のための階層的システムの提案がなされる。また、需要の予測の技法について説明する。階層的生産計画管理システムの原則は以下の通りである。 計画は階層的に作ら…

現実的なワーストケースの式への疑問(4)

「時間平均と到着時平均」「PASTA(1)」〜「PASTA(5)」によって「現実的なワーストケースの式への疑問(3)」で提出した疑問 ジョブがラインに到着した時のWIPを多数のジョブについて記録するとする。 その際、到着したジョブはWIPに…

現実的なワーストケースの式への疑問(3)

「現実的なワーストケースの式への疑問(2)」の続きです。 自分があるジョブの上に乗ってラインに到着した時、ラインのWIPは平均になるというのが、 におけるの根拠になっています。そして、なぜ平均がになるかという理由は、自分が乗っているジョブ、…

現実的なワーストケースの式への疑問(2)

「現実的なワーストケースの式への疑問(1)」の続きです。 Factory Physicsで「現実的なワーストケース」の式をどのように導き出しているかということを見ていきます。 現実的なワーストケース(PWC)がどのように動作するのかを理解するために、ライン…

現実的なワーストケースの式への疑問(1)

「直列のジャクソン・ネットワークでX-Factorが一番大きい構成」で、直列のジャクソン・ネットワークでX-Factoerが一番大きい場合には、X-Factoerが となることを導きました。ここで正味の処理時間(ロー・プロセス・タイム)を、サイクルタイムをで表すと …

Factory Physicsの「サプライチェーン」の章

「極私的ISSM2007ハイライト」で、ISSM 2007 の発表論文のうち、自分の興味のある論文をいくつかピックアップしましたが、その中にサプライチェーンに関する論文が2件あります。 半導体サプライチェーンにおけるフォワード階層ベースの在庫…

CONWIP

Constant WIP(固定WIP)の略。CONWIPではラインからジョブが出て行く(アウトプット)のに合わせてラインへのジョブを投入(リリース)することにより、ライン内のWIPを常に一定数に保ちます。CONWIPはWIPの最大値を守らせるための最…

Factory Physicsは何であるか?

本「Factory Physics」では、最後に「Factory Physicsは何であるか」「将来それから何を我々は期待できるか」について述べて、この本を閉じています。それを要約して紹介します。 Factory Physicsは製造の科学のための出発点である。 製造管理者がどちらの方…

Factory Physicsを引用している論文

私が見た、Factory Physicsを引用している論文のタイトルを示します。これらは、ISSM(International Symposium of Semiconductor Manufacturing:半導体製造国際シンポジウム)の論文です。 ISSM2006から、 "A Dynamic Method for Optimal WIP Allocati…

番外編:Factory Physicsとの出会い

番外編として、私がどのようにFactory Physicsに出会ったか、という話を紹介いたします。 私のFactory Physicsとの出会いは2回あります。1回目は2000年か2001年、私が前の会社にいた頃、私の元上司からこの本を紹介されました。その当時はこの本は…

故障と段取りの考慮

Kingmanの近似式とその拡張でWhittの近似式 ただし :キューでの待ち時間 :ジョブの到着間隔の変動係数。(変動係数とは、標準偏差/平均 のこと) :装置処理時間の変動係数。 :装置の利用率 :装置台数 :装置の平均「実効」処理時間 を紹介しましたが、…